「クマを殺すな」と言う前に知ってほしい現実──ツキノワグマ被害の深刻な実態

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近年、日本各地でクマによる人身被害が相次いでいます。中でもツキノワグマの出没が急増し、2025年も秋を前にしてその勢いは収まりそうにありません。

しかし、クマの駆除に対して「殺すな」「かわいそう」という声がSNSなどで多く見られます。確かに命の大切さは言うまでもありませんが、その前に実際にクマに襲われた人の現実を、私たちはどこまで理解しているでしょうか?

この記事では、医師の証言や被害者の実情をもとに、クマ被害の深刻さをあらためてお伝えします。


「命に別条なし」の裏側にある重傷

2025年7月21日、秋田県北秋田市で75歳の男性が畑仕事中にツキノワグマに襲われました。報道では「命に別状なし」とありましたが、その内容は決して軽視できるものではありません。

この男性は顔や頭部に深い傷を負い、鼻骨が折れ、眼が開けられないほどの状態。それでも自身で車を運転して帰宅したというのです。

秋田大学医学部の中永医師によると、このような**「自力で移動できる重傷者」**は珍しくありません。アドレナリンによる痛覚の麻痺や血管収縮の作用で、一時的に行動が可能になるのだそうです。しかしその数時間後、痛みや精神的ショックが一気に襲ってきます。


鼻が取れ、眼球が飛び出すほどの惨状

別の事例では、80代の男性が自宅前の畑で襲われ、顔の皮膚が裂け、左眼球が飛び出すという深刻な外傷を負いました。救急隊員が現場で落ちていた鼻を回収し、形成外科で縫合したという壮絶な記録も残されています。

また、山菜採り中に襲われた男性は、クマを追い払った直後は無傷だと思っていたものの、手を見ると小指が消失していたという例も。痛みを感じないのは一時的であり、決して軽傷ではないのです。


傷は体だけでなく、心にも

クマによる被害は、外傷だけでなく精神的な影響も深刻です。

中永医師によれば、多くの患者が急性ストレス反応を示し、不眠や悪夢に悩まされるとのこと。中には**PTSD(心的外傷後ストレス障害)**を発症し、再び畑に行くことすらできなくなる人もいます。

一部の患者は、襲われたときの記憶があいまいになる防衛反応を示すこともあり、その精神的ダメージの深さがうかがえます。


クマに出会ったら、どうすればいい?

万が一、クマと至近距離で出会った場合、アッパーカットのような攻撃はありません。第一撃は水平の「顔面パンチ」で、爪や牙による攻撃が続きます。

被害を最小限に抑えるには、腹ばいになり顔を地面につけ、両手で頭部と首を守るのが有効です。目や頸動脈を守ることで、命にかかわる致命傷を避けられる可能性があります。

また、子グマを見かけても絶対に近づかないこと。母グマが近くにいる可能性が高く、強烈な反撃を受けるリスクが極めて高いからです。


クマの目撃件数は過去最多ペース

秋田県では、2025年のクマの目撃情報は前年同時期の約3倍に増加していると報告されています。2023年度には70人以上の人身被害が確認されており、今年も大量出没が予想されています。

特に秋は被害のピーク。冬眠を控えたクマが活発に動き出すため、人里への出没も増加します。


「かわいそう」だけでは済まされない命の危機

もちろん、クマも自然界の大切な存在です。しかし、人の命と生活を脅かす存在になったとき、適切な管理や駆除が必要となる場合もあるのです。

「クマを殺すな」と訴える前に、実際にどれほどの苦痛や苦悩が被害者にのしかかっているか、ぜひ一度立ち止まって考えてみてください。


野生動物と共存するために私たちができること

クマを排除することだけが解決ではありません。山林と人里の緩衝地帯の整備地域ぐるみでの見回り活動出没情報の共有など、できる対策はたくさんあります。

また、クマの生態や行動パターンを知ることも非常に重要です。正しい知識を持ち、冷静に対応することで、自分自身や大切な人の命を守ることにつながります。


まとめ:感情論ではなく、現実に目を向けて

クマは確かに美しく、賢い生き物です。しかし、その野生の力は時に人の命や心を壊してしまうほど強烈です。

だからこそ、被害者の現実に耳を傾け、命を守る行動をとることが最優先されるべきではないでしょうか。

「クマを殺すな」と言いたくなる気持ちはわかります。ですが、その言葉を発する前に、この記事の内容を胸に刻んでいただければ幸いです。


▼補足:クマ被害に関する情報提供・注意喚起を行う自治体サイト一覧(Google Adsense審査合格後に更新予定)

  • 秋田県環境保全課
  • 林野庁 野生動物管理室
  • 各地の猟友会・里山保全団体
プロフィール
著者
diamondken

完全FIREを目指している一般独身男性。
約30年、自動車業界/外資系自動車部品メーカーに従事。
自動車用電装部品の開発にてSW, HW, SYS, PMを経験/担当し今に至る。
趣味はテニス、映画/音楽鑑賞、ゲーム(PS)、読書、旅行、楽器/エレキギターなど。
完全FIRE/経済的自立を実現すべく、資産運用、副業、投資、税金について勉強中。
TOEICスコア: 960

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