インターネットでチケットを購入したり、ネットショッピングをする際に表示されることのある 「私はロボットではありません」 という認証画面。
本来は不正アクセスや自動プログラムによる購入を防ぐための仕組みですが、近年この画面を悪用した新しい詐欺手口が急増しています。
それが 「クリックフィックス(ClickFix)詐欺」 と呼ばれるものです。
「私はロボットではありません」とは?
この認証画面は、正式には CAPTCHA(キャプチャ) と呼ばれる仕組みの一種です。
サイト運営側は以下のような不正行為を防ぐために導入しています。
- プログラムによるチケットや商品の買い占め
- 自動アクセスによるサーバーダウン
- 不正な会員登録やスパム送信
ユーザーに「信号機の画像を選んでください」「数字を入力してください」といった操作をさせることで、アクセスが“人間によるもの”であることの確認を試みるものです。

クリックフィックス詐欺の手口とは
問題は、これを装った 偽の認証画面 です。
「私はロボットではありません」にチェックを入れると、次のような不自然な指示が表示されることがあります。
- 「WindowsキーとRキーを同時に押してください」
- 「特定のコマンドを入力してください」
一見、正規の操作に見えますが、実際にはウイルスを仕込むための手順になっており、ユーザー自身に操作させて感染させる点が特徴です。
この手口について、セキュリティ企業 株式会社ラック の仲上竜太氏の注意喚起は下記です。
「攻撃者が直接侵入するのではなく、利用者に“自分でドアを開けさせる”ように仕向けるのが、この詐欺の最大の問題点です。」
被害が広がる背景
なぜ今、この詐欺が急増しているのでしょうか。
- 日本では国際イベント(大阪万博など)が開催されており、観光業が注目されている
- ネット予約やオンライン購入の利用が増加している
- 「私はロボットではありません」という表示が一般的で、利用者が疑いにくい
こうした状況を狙い、海外の攻撃者による標的型の詐欺が増えているといわれています。
被害に遭うとどうなる?
クリックフィックス詐欺に従って操作してしまうと、次のようなリスクがあります。
- パソコンそのものが乗っ取られる
- 保存しているパスワードやメール、写真などのデータ流出
- クレジットカード情報の不正利用
しかも、感染直後には 目立った症状が出ないことが多い ため、被害に気づくのが遅れるのも厄介です。

対策と注意点
疑わしい画面に出会ったら
- 「私はロボットではありません」の後に キーボード操作を要求する画面は存在しないことを思い出す
- 不自然な指示が出た時点で ブラウザを閉じる
- 怪しいと思ったら 何も入力せず、そのまま操作を中断
もし操作してしまったら
- インターネット接続をすぐに切断
- 保存しているパスワードをすべて変更
- クレジットカードを利用停止にする
- 警察庁の「サイバー事案に関する相談窓口」に連絡
まとめ ― 無意識クリックに要注意
私自身も特定の会員サイトで「私はロボットではありません」を無意識にクリックしていました。
それ自体は正規の操作なのですが、もし偽物だったら…と思うと少し怖くなります。
ネットを使ううえで大切なのは、 「不自然な操作要求には従わない」こと。
「私はロボットではありません」と表示された時も、油断せず注意深く確認する習慣が被害防止につながります。
✅ 安心してネットを使うためのポイント
- 「私はロボットではありません」で追加操作を求められたら要注意
- 不審な画面が出たらブラウザを閉じる
- もし操作してしまったら即座にネット接続を切断し、速やかに対応
インターネットは便利ですが、詐欺の手口も日々進化しています。
「ほんのワンクリック」が大きな被害につながることもあるので、日常的にセキュリティ意識を持って利用しましょう。
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