近年、紙巻きたばこに比べて「煙が出ない」「においが少ない」として人気が広がった 加熱式たばこ。
しかし、2025年現在、その「安全性」をめぐって、国が本格的に対策強化を検討し始めました。
厚生労働省は、加熱式たばこの受動喫煙リスクを見直すため、専門委員会で議論を開始。これまで例外的に認められてきた 飲食可能な喫煙室での使用 を、紙巻きたばこと同じレベルの規制にするかどうかを検討しています。
この記事では、
- なぜ今になって加熱式たばこが問題視されているのか
- 研究で何が判明してきているのか
- 健康志向・FIRE志向の人にどんな影響があるのか
- 今後の規制はどう変わるのか
を、最新情報とあわせてわかりやすく解説します。
1. 加熱式たばこは「安全」なのか?最新研究で分かってきたこと
■ 「煙が出ない=安全」は誤解だった
加熱式たばこは火をつけず、煙も少ないため「副流煙は出ない」と思われがちです。しかし、ここ数年の国内研究で次のような事実が明らかになりました。
① 有害物質が“ゼロ”ではない
加熱式たばこの蒸気(エアロゾル)からは、以下のような化学物質が確認されています。
- ニコチン
- ホルムアルデヒド
- 多環芳香族炭化水素(発がん性がある物質も含む)
- 金属成分
紙巻きたばこより少ない成分もありますが、特定の有害物質はむしろ高い濃度で検出される製品もあると報告されています。
② 吐き出す“呼出煙”が室内環境を汚染している
厚労省関連の研究では、喫煙者が加熱式たばこを吸った後に吐き出す“呼出煙”によって室内の粒子濃度が上昇し、
受動喫煙の可能性がある
ことが確認されています。
③ マウス実験では「肺のストレス反応」も
動物実験では、加熱式たばこの蒸気に曝露されたマウスに肺の炎症や酸化ストレス反応がみられたという報告もあり、長期的な影響は未知数のままです。
2. なぜ今、規制強化が議論されているのか?
■ 2020年の健康増進法では「経過措置」扱いだった
改正健康増進法では紙巻きたばこは原則屋内禁煙。
一方、加熱式たばこは、
- 飲食ができる喫煙室で喫煙可能
- 一部の飲食店は例外的に使用可能
という「特別扱い」がなされてきました。
その理由は、
- 科学的データが不足していた
- 十分に健康影響が解明されていなかった
からです。
■ しかし、最近の研究で “例外扱いの根拠が薄れた”
この5年間での研究蓄積により、加熱式たばこでも受動喫煙リスクがあることが示され、
「紙巻きたばこと同じ規制が必要では?」
という議論が本格化しています。
■ 2025年以降、規制が大きく変わる可能性も
議論のポイントは以下の通り。
- 加熱式たばこも紙巻きと同様に「飲食不可の喫煙専用室のみ」にするか
- 医療機関・学校の敷地内喫煙所を全面廃止するか
- 小規模飲食店の喫煙可能特例を継続するかどうか
多くの施設で、加熱式たばこの使用が一気に制限される可能性があると言えます。
3. なぜFIREを目指す人に関係があるのか?
FIREを目指す方は総じて 健康志向・長期的視点での自己管理 を重視する傾向があります。
受動喫煙は、以下のリスクを高めることが研究でわかっています。
- 心疾患
- 肺がん
- 脳卒中
- 喘息・アレルギー悪化
- 睡眠の質低下
健康リスクはそのまま医療費の増加=FIREの敵 です。
加熱式たばこも「健康的な選択肢」とは言いづらく、
特に 集中作業スペース・カフェ利用時の受動喫煙 には注意が必要です。
4. 筆者の視点:やっと議論が動き始めたという印象
筆者(非喫煙者)としては、
「ようやく…」
という思いがあります。
実際に、飲食店で加熱式たばこを吸っている人を見ると、
「煙が少ないだけで、本当に大丈夫なのだろうか?」
と違和感がありました。
飛行機のビジネスクラスですら、加熱式を吸ったという話を耳にしたことがあります。
しかし現在の研究を見れば、
「煙が見えないだけで、化学物質は排出されている」
というのが実態です。
規制が進むことで、
「吸う人」「吸わない人」双方が安心できる社会になることを期待しています。
5. 私たちができる対策
- 子どもの近くで加熱式たばこを吸わせない
- 狭い空間で加熱式たばこを吸う人がいれば距離をとる
- カフェ・コワーキングスペース選びは「完全分煙」を基準に
- 自宅や車内は“完全禁煙”ルールにする
FIREを目指すなら、健康を守るための環境づくりは必須です。
まとめ:加熱式たばこは「紙巻きより安全」とは言えない段階にきた
- 加熱式たばこでも有害物質は出る
- 呼出煙による“受動喫煙”リスクが明確化
- 国は規制強化を本格議論中
- FIRE民にとっても無視できない健康課題
これまで「煙が出ないから大丈夫」と思われてきた加熱式たばこですが、
もはや安全と言える根拠は薄くなっています。
これからの規制動向を注視しつつ、
自分や家族の健康を守る行動を選択していくことが大切です。

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