「ただ暑いだけじゃない」──この夏の猛烈な暑さ、実は“老化”まで早めてしまうかもしれません。
◆ 今年の夏、いつもと違う?
2025年の夏、北半球の各地は記録的な猛暑に見舞われています。湿度の高いムシムシとした空気、呼吸すら苦しく感じるほどの高温──そんな日が続くと、体への負担は計り知れません。
多くの人が、めまい・吐き気・脱水症状といった熱中症のリスクに意識を向けますが、もっと深刻な影響が私たちの体内で静かに進行している可能性があることをご存知でしょうか?
その正体とは…「老化の加速」です。
◆ 老化が加速するってどういうこと?
老化には大きく分けて2つの“年齢”があります。
- 暦年齢(カレンダー・エイジ):実際の年齢
- 生物学的年齢(バイオロジカル・エイジ):体や細胞の状態を表す年齢
生物学的年齢が高いということは、見た目や体力以上に“内側”が年をとっているということ。これは将来的ながん・認知症・糖尿病などのリスク増加にも直結するとされ、健康寿命を縮める要因になります。
◆ 暑さが細胞に与える「静かなダメージ」
アメリカ・南カリフォルニア大学の老年学専門家、ジェニファー・エルシャー教授の研究によると、暑さが生物学的年齢を引き上げる可能性があるとのこと。
どうやって?
それは、「DNAの発現を調整するスイッチ」に暑さが悪影響を与えるからです。
- DNAそのものは変わりませんが、暑さやストレス、栄養状態といった要因が、エピジェネティック修飾と呼ばれる変化を起こします。
- これは、言わば「スイッチのON/OFFの誤作動」。結果として、本来は活発であるべき遺伝子の機能が低下したり、老化関連遺伝子が過剰に働いたりします。
つまり、暑さ=細胞レベルのストレスなのです。
◆ 驚きの研究結果:1年で14か月も老ける?
2024年2月に発表された調査では、アメリカ全土の56歳以上の3,600人の血液データを分析し、居住地の気温データと照らし合わせたところ、
年間140日以上の酷暑にさらされた人は、10日未満の人に比べて、最大14か月も生物学的年齢が進んでいたという結果が出ました。
しかも、収入や運動量などの生活要因を考慮しても、この関連性は変わらなかったそうです。
◆ 老化を防ぐために、私たちにできること
「じゃあ、暑い国に住んでるだけで老けていくの?」
そんな不安を抱いた方も多いかもしれませんが、ご安心ください。研究者たちは、「老化の加速は避けられる」と語っています。
● 対策①:体を冷やす環境を整える
- エアコンを上手に使い、日中の外出は避ける
- 無理に運動せず、朝や夜など涼しい時間帯に活動
● 対策②:体内環境を整える
- 水分と栄養をしっかり補給
- ストレス管理と十分な睡眠
● 対策③:医療やサプリの活用も視野に
老化を遅らせる可能性がある薬剤(例:メトホルミンやオゼンピックなど)の研究も進んでいます。ただし、医師との相談は必須です。
◆ まとめ:未来のために、今できることを
気候変動が進む今、私たちが暑さとどう向き合うかは、健康寿命を左右するカギです。
「暑さ=ただの不快感」ではなく、「老化を進める環境ストレス」という視点を持つことで、日々の行動も変わってきます。
そしてなにより、知識は最大の防御です。体の内側で何が起こっているのかを知り、適切に対処していきましょう。
💡 本日のポイントまとめ
- 猛暑は生物学的老化を加速させる
- 暑さが細胞やDNAの働きに悪影響を及ぼす
- 年間140日以上の酷暑で最大14か月分老ける可能性
- 環境を整え、体をいたわる行動でリスク軽減が可能
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