はじめに:ユニクロが「古着」を売る時代に
「ユニクロが高くなった」――そんな声を最近よく聞きませんか?
実際、ベーシックなTシャツやダウンジャケットも数年前より値上がりし、以前のように“気軽に買える服”というイメージが薄れつつあります。
そんな中で注目を集めているのが、ユニクロが展開する「ユニクロ古着(RE.UNIQLO)」です。
2025年11月には、福岡・天神店で古着販売スペースが拡大され、試着や検品を経た再販売が本格化しました。
「RE.UNIQLO」とは? ― 循環型ビジネスへの挑戦
「RE.UNIQLO(リ・ユニクロ)」は、ユニクロが掲げるサステナビリティ戦略の一環で、
自社製品を回収 → 検品 → 洗浄 → 再販売する循環型ビジネスモデルです。
この取り組みの原点は2006年。
当時からユニクロは、着なくなった服を全国の店舗で回収し、
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)を通じて世界中の難民キャンプなどへ寄付してきました。
その活動が進化し、2023年からは「再販売」にも踏み込んだのがRE.UNIQLOです。
これまで寄付・リサイクル中心だった取り組みを“国内での再利用”に拡大することで、
より持続可能なファッションの実現を目指しています。
現在の展開状況と販売価格帯
2025年11月時点では、以下の店舗で「RE.UNIQLO 古着」販売が行われています。
- 福岡・天神店(2025年11月に販売スペース拡張)
- 東京・世田谷店
- 群馬・前橋店
- その他、試験的に展開する数店舗
販売商品は、洋服に限らずバッグ・帽子などの小物類まで幅広く、
価格帯は 500円〜5,000円未満。
新品よりも手頃でありながら、全品が洗浄・検品済みという安心感があります。
ユニクロが「古着」に踏み出した理由
ユニクロが古着販売に乗り出した背景には、2つの理由があります。
1. サステナビリティ(環境配慮)
アパレル業界は、世界的に環境負荷が高い産業のひとつです。
その中でユニクロは「服を廃棄せず、再び価値を生み出す」ことを目指しています。
古着販売は、廃棄を減らし、製品寿命を延ばす取り組みとして高く評価されています。
2. 消費者ニーズの変化
「新品じゃなくてもいい」「質が良ければ中古で十分」
という意識は若い世代を中心に急速に広がっています。
特にZ世代は、リユース・リメイク・サステナブルといった価値観に敏感です。
ユニクロが古着市場に参入したのは、こうした時代の変化を的確に捉えた結果ともいえます。
他ブランドとの比較:ユニクロの強みとは?
ZARAやH&Mなど海外ブランドでもリサイクル活動は行われていますが、
自社製品の再販売を店舗レベルで展開している点で、ユニクロは一歩先を行っています。
さらに、ユニクロの強みは「品質の安定性」。
長く着られる丈夫な素材だからこそ、古着としても再利用価値が高いのです。
今後の展望と課題
現時点では「試験展開」とされており、売上や店舗数の詳細は非公開です。
しかし、ユニクロの統合報告書では「循環型ビジネスの拡大」を明記しており、
全国展開は時間の問題とも言われています。
一方で課題もあります。
古着販売の採算性、物流コスト、品質管理の徹底など、
ビジネスとして成立させるにはまだ多くの工夫が必要です。
とはいえ、消費者が“気軽に手に取れる価格”でサステナブルな選択ができるようになることは、
社会的にも非常に価値のある一歩です。
まとめ:ユニクロ古着が変える、これからのファッションのかたち
ユニクロが“古着販売”を始めたのは、
単なる値下げ戦略ではなく、「服を循環させる社会」への挑戦です。
新品より少し安く、でも品質は確か。
しかも地球にやさしい――そんな買い方が、これからのスタンダードになるかもしれません。
「RE.UNIQLO」は、消費者・企業・環境のすべてにとって“ちょうどいい距離”を見つける試み。
ユニクロの次の展開に、これからも注目していきたいですね。
✅ポイントまとめ
- 「RE.UNIQLO 古着」はユニクロの循環型ビジネス
- 福岡天神店など全国で試験展開中(価格帯500〜5,000円)
- 回収→洗浄→検品→再販売で高品質を維持
- 環境配慮+コスパ重視の新しい買い方として注目

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