~知らないと危険!発火事故・正しい使い方と廃棄方法~
近年、リチウムイオン電池の発火事故が急増しています。
スマートフォンやモバイルバッテリーはもちろん、ワイヤレスイヤフォン、スマートウォッチ、携帯用扇風機など、身の回りの多くの製品に使われているリチウムイオン電池。
便利な反面、扱い方を誤ると火災や爆発につながる危険性があるのをご存じでしょうか?
■ 国の注意喚起:事故が増加中!
2025年10月2日、消費者庁、総務省消防庁、経済産業省、環境省の4省庁が、リチウムイオン電池による発火事故について改めて注意喚起を行いました。
事故情報データバンクによると、
2020年度から2024年度までの5年間で、
リチウムイオン電池関連の事故は162件報告され、そのうち136件が電池に起因しているとのこと。
内訳を見ると、
- ワイヤレスイヤフォン:64件
- スマートウォッチ:46件
- 携帯用扇風機:26件
と、いずれも年々増加傾向にあります。
特に充電中の事故が多く、注意が必要です。
■ リチウムイオン電池の特性と危険性
リチウムイオン電池は「高エネルギー密度」が特徴です。
つまり、小さな電池でも大きな電力を蓄えることができます。
その反面、過充電・衝撃・高温環境などが原因で、内部短絡(ショート)や発火が起きるリスクも高まります。
最近では、低価格な中国製の電子機器に品質の低い電池が使われているケースもあり、
安全性の低下が懸念されています。
■ 使用時の注意ポイント
リチウムイオン電池を安全に使うために、次の点を意識しましょう。
1. 強い衝撃・圧力を加えない
落としたり、鞄の中で圧迫されると内部が損傷し、発熱や発火の原因になります。
2. 高温環境を避ける
直射日光の下や車内など高温になる場所に放置しないようにしましょう。
3. 充電は安全な環境で
寝ている間の充電は避け、できるだけ起きているときに行うのが安全です。
充電器やケーブルも、正規品を使用することが重要です。
4. 異常を感じたら使用中止
膨張・異臭・異音・異常発熱を感じたら、すぐに使用をやめましょう。
5. 発火時の初動対応
まずは安全を確保し、可能であれば大量の水で温度を下げることが有効です。
ただし、水だけで完全に消火できるとは限りません。無理に近づかず、すぐに119番通報を。
6. 公共交通機関ではルールを守る
飛行機や電車などでは、手荷物として自分の目の届く場所に置くことが大切です。
■ 廃棄時のポイント:混ぜて捨てるのは絶対NG!
リチウムイオン電池を他のごみと一緒に捨てると、火災の原因になります。
実際に、ごみ収集車や処理施設での火災が相次いでいます。
安全に廃棄するための基本は次の通りです。
- 電池が使われているか確認する
見た目ではわからない製品もあるため、取扱説明書をチェックしましょう。 - リサイクル回収を利用する
家電量販店や自治体の回収ボックスで、リチウムイオン電池を回収しています。 - 破棄前に電池を使い切る
残量を減らしてから処分すると、発熱リスクが下がります。 - 破棄方法を確認してから捨てる
自治体のホームページなどで、分別ルールを確認しましょう。
■ 筆者の経験から:開発現場で感じた危険と教訓
筆者は以前、リチウムイオン電池を使用した製品の開発に携わっていました。
現場では、衝撃や高温環境を避けることの重要性を何度も学びました。
特に印象的だったのは、発火時に水をかけても完全には消火できないという事実です。
水は温度を下げる効果はありますが、電池内部の反応までは止められません。
また、移動中に発火した場合に備えて、自分の手の届く範囲に置くことも、地味ながら大切な安全策です。
■ まとめ:便利さの裏にあるリスクを理解しよう
リチウムイオン電池は、私たちの生活を支える重要な技術ですが、
その**便利さの裏には「取り扱いのリスク」**が存在します。
- 正しい使い方と廃棄方法を知る
- 品質の高い製品を選ぶ
- 日常的に注意を払う
これらを心がけるだけで、発火事故の多くは防げます。
あなたの身の回りの電池、「大丈夫?」と今一度確認してみませんか?

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