経営・管理ビザ厳格化がもたらす本当の影響
スパイシーなカレーに、焼きたての大きなナン。
日本の街角に溶け込んだインド・ネパール料理店は、もはや“特別な外国料理”ではありません。
しかし今、その多くが3年以内に激減する可能性があるというニュースが波紋を広げています。
背景にあるのは、外国人経営者向けの在留資格「経営・管理ビザ」の厳格化です。
本当にインドカレー店は消えてしまうのか?
何が起きているのかを、最新情報とともに整理します。
経営・管理ビザとは何か?
「経営・管理」ビザは、日本で会社を設立し経営する外国人向けの在留資格です。
もともとは日本経済活性化を目的に運用され、要件は比較的緩やかでした。
旧要件(~2024年9月)
- 資本金:500万円以上
- 事務所の確保
- 事業の継続性
しかし、2024年10月以降、要件が大幅に厳格化されました。
何が変わったのか?
新要件では、次の条件が追加・強化されています。
新要件(2024年10月~)
- 資本金:3,000万円以上
- 常勤職員1人以上の雇用
- 経営・管理経験3年以上、または修士相当学位
- 専門家(中小企業診断士など)による事業計画確認
従来の6倍の資本金要件は、零細飲食店にとって極めて高いハードルです。
なぜ厳格化されたのか?
背景には、ビザ制度の悪用問題があります。
近年、中国人による取得が急増。
一部で「ペーパーカンパニー」による移住目的の利用が問題視されました。
入管当局の調査では、実態のない事業が多数確認され、国会でも取り上げられました。
その結果、「抜け穴封じ」として制度が強化されたのです。
しかし、影響を受けるのは誰か?
問題はここです。
制度悪用の中心とされた層は、比較的資金力のある富裕層。
一方、実際に大きな打撃を受けるのは――
- ネパール人
- インド人
- ベトナム人
- タイ人など
地域密着型の小規模飲食店経営者です。
資本金3,000万円を準備できるインドカレー店は、ほぼ存在しないと言っても過言ではありません。
「新大久保が廃墟になる」は本当か?
東京・新大久保は、多国籍レストランと食材店の集積地です。
首都圏の在留外国人数は増加傾向にあり、
2025年6月末時点で約160万人を超えています。
彼らにとって母国の味は、生活の支えでもあります。
もし小規模経営者が撤退すれば、
- 店舗の空き物件増加
- 家賃下落
- 地域の観光魅力低下
- 日本人オーナーや取引業者への波及
といった二次的影響も考えられます。
ただし、「3年で消滅」という見方はやや極端です。
既存取得者には3年間の猶予期間があるため、
影響が顕在化するのは2027~2028年頃とみられます。
ガチ中華は影響を受けない?
中国系中華料理店(いわゆるガチ中華)はどうでしょうか。
多くは永住者ビザ取得者が経営しており、
今回の要件強化の直接的影響は限定的とされています。
さらに資本力の差も大きく、
3,000万円という金額が障壁にならない層も存在します。
つまり、制度は一律でも、影響は一律ではないのです。
子どもや留学生への影響
見落とされがちなのが、家族や子どもへの影響です。
経営者が帰国すれば、
- 日本で育った子どもの教育環境の変化
- 言語問題
- 精神的負担
といった問題が発生します。
また、日本で起業を目指していた留学生にとっても
資本金3,000万円は現実的ではありません。
日本を選ぶ留学生が減少する可能性も指摘されています。
本当に「消える」のか?
結論から言えば、
✔ 全滅はしない
✔ しかし確実に減少する可能性は高い
と考えるのが現実的です。
特に、
- 地方都市の小規模店
- 家族経営型店舗
- 資金力の乏しい新規参入者
は大きな影響を受けるでしょう。
日本社会はどう向き合うべきか?
昨今、「自国ファースト」の空気が強まっています。
制度厳格化は一概に間違いとは言えません。
悪用防止は必要です。
しかし同時に、
- 真面目に働く零細事業者
- 地域に根付いた店舗
- 多文化共生の拠点
を守るバランスも重要です。
もしお気に入りのインドカレー店があるなら、
それは単なる飲食店ではなく、
地域の多文化の象徴かもしれません。
まとめ
- 経営・管理ビザの資本金要件が500万円→3,000万円に引き上げ
- 小規模インド・ネパール料理店への影響が大きい
- 既存取得者には3年猶予あり
- 2027~2028年に閉店増加の可能性
- 子ども・留学生・地域経済への波及も懸念
「あと3年で激減」という表現はやや刺激的ですが、
制度変更が飲食業界に大きな影響を与えるのは事実です。
私たちの街のカレー店は、
次の3年でどうなるのでしょうか。
多文化と経済合理性のバランスを、
改めて考える時期に来ているのかもしれません。

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