「今日は授業サボっちゃおうかな」
「仕事、ちょっとサボり気味だな…」
日常会話でよく耳にする「サボる」という言葉。
日本語らしい響きですが、実は**フランス語の“サボタージュ(sabotage)”**に由来していることをご存じでしょうか?
本記事では「サボる」の語源や歴史、英語との違いまで、わかりやすく解説します。
「サボる」とは?
まずは基本から。
「サボる」とは、日本語の俗語で仕事や授業などを怠けることを指します。
同義語として「怠ける」「ふける(授業を抜け出す)」などがあります。
日常会話や学生生活で当たり前のように使われていますが、その語源をたどると意外な歴史が見えてきます。
語源はフランス語「サボタージュ(sabotage)」
「サボる」は、フランス語の “sabotage”(サボタージュ)から生まれた言葉です。
- sabotage = 労働争議での怠業や妨害行為、破壊活動
- 日本語の「サボる」= 授業や仕事を怠ける
もともとの「sabotage」はもっと広い意味を持ち、破壊活動や抵抗運動まで含みます。
一方、日本語では「怠ける」というライトなニュアンスに変化していきました。
「サボタージュ」と木靴の関係
「sabotage」という言葉自体の語源は、**木靴(サボ/sabot)**にあります。
諸説ありますが、代表的なものは以下です。
- 木靴を履いて作業すると効率が落ちる
- 労働者が木靴で機械を蹴って壊した
- 機械が動かないときに木靴で叩いた
現在では「木靴で機械を破壊した」という説が有力とされています。
日本で「サボる」が広まった時代
日本に「サボタージュ」が入ってきたのは大正時代。
当時、労働争議や怠業が盛んで、新聞でも「サボタージュ」という言葉が使われ始めました。
1919年(大正8年)の大阪朝日新聞や、1920年(大正9年)の書籍
『サボタージユ—川崎造船所怠業の真相』などをきっかけに、言葉が一般に広がったとされています。
そして「サボタージュ」から「サボ」へ、さらに動詞化して「サボる」という日本独自の表現が生まれました。
「サボる」と同じ造語の仲間たち
外来語をそのまま動詞にするのは日本語では珍しいのですが、「サボる」以外にも仲間がいます。
- ダブる(重複する<double)
- トラブる(トラブルが起こる<trouble)
- ミスる(失敗する<miss)
- ハモる(音程を合わせる<harmony)
「する」を付けるのではなく、そのまま動詞化する造語法は、日本語の柔軟さをよく表していますね。
英語の「Sabotage」との違い
筆者が英語学習者として面白いと感じるのは、英語の “sabotage” と日本語の「サボる」では意味の強さが大きく異なることです。
- 英語:破壊工作、妨害活動など深刻で過激な意味
- 日本語:授業や仕事をちょっと抜ける、怠けるといった軽いニュアンス
同じ語源を持ちながら、文化の中で意味が変化しているのが言語の面白いところですね。
まとめ
- 「サボる」はフランス語 “sabotage” が語源
- 「木靴(sabot)」が由来とされる
- 大正時代の労働争議をきっかけに日本に広まった
- 日本語では「怠ける」という軽い意味に変化
- 英語の “sabotage” は今も「妨害・破壊」の強い意味を持つ
普段何気なく使っている「サボる」も、実はフランスから渡ってきた歴史ある言葉。
ちょっとした語源の知識があると、使うときに少し違った味わいを感じられるかもしれません。


コメント