旅先の宿泊先といえば、ホテルや旅館、最近ではAirbnbも人気ですが、「ユースホステル(Youth Hostel)」という選択肢をご存じでしょうか?
筆者自身はまだ利用したことがないのですが、以前から気になっていたので、歴史や特徴、仕組みなどを徹底的に調べてみました。知れば知るほど面白く、実際に一度は泊まってみたいと思える魅力がありました。
ユースホステルのはじまり:教育現場から生まれた宿泊施設
ユースホステルの起源は、なんと100年以上も前のドイツにあります。
1909年、ドイツの小学校教師リヒャルト・シルマンが、生徒と徒歩旅行をする中で、豪雨のためやむなく小学校に避難。これがきっかけとなり、青少年が安全かつ安価に宿泊できる施設を作るというアイデアが生まれました。
その後、彼の努力と支援者の協力によって「ユースホステル運動」が始まり、世界中に広まっていきます。
しかし、第一次世界大戦や第二次世界大戦による困難やナチス政権による迫害など、数々の苦難を乗り越えながら、シルマンはユースホステルの国際ネットワークを築き上げていきました。
国際ネットワークと日本のユースホステル協会(JYH)
現在では、国際ユースホステル連盟(IYHF)が世界中のホステルを統括しており、その本部はイギリスにあります。
日本では、1951年に「日本ユースホステル協会(JYH)」が設立され、現在では全国約200か所に施設があります。初の直営施設は北海道・支笏湖畔に開設されました。
どんな場所に泊まれるの?
ユースホステルは、その宿泊施設の多様性も魅力の一つです。一般的な建物だけでなく、以下のような面白い施設もあります。
- 古城や歴史的建造物
- 倉庫をリノベーションした宿
- 港に係留された船
- 山小屋風の自然派ホステル
世界初のユースホステルも、実はお城の一角だったそうです。ちょっとした冒険気分を味わえるのも、ユースホステルならではです。
ユースホステルの利用方法と料金
会員制度
ユースホステルをお得に利用するには、会員登録が基本です。年齢や利用目的に応じて、以下のような種類があります。
- 成人パス会員(19歳以上、年齢制限なし)
- 終身パス会員(26歳以上で一度の登録でOK)
- 家族パス会員、団体パス会員などもあり
ちなみに会員でないビジターも宿泊できますが、600円程度の追加料金がかかります(公営ホステルは除く)。
宿泊料金の目安
日本国内では、1泊2食付きで**4,700円〜5,000円程度(会員料金)**が目安です。基本的に男女別の相部屋が多いですが、家族やグループでの個室利用も可能な施設が増えています。
ユースホステルの特徴とルール
基本はセルフサービス
現在はホテルと同様のサービスが多くなりましたが、かつては「配膳」「寝具の準備」「清掃」までホステラー(宿泊者)が行うのが基本でした。
最近ではほとんどの施設でスタッフが対応しますが、共同生活の精神を重視する文化は残っています。
消灯・飲酒・喫煙について
- 消灯は22時〜23時が一般的
- 近年では飲酒OKの施設も多く、ビールを楽しめるバーを備えたホステルも登場
- 全館禁煙が主流になっています
会員の「四つの誓い」って?
ユースホステル会員になると、次のような精神的指針が掲げられています。
- 簡素な旅行を通して未知の世界を探求する
- 規律を守り、良い習慣を身につける
- 助け合い、社会の発展に貢献する
- 国際人として教養を高め、明るい社会を築く
まさに旅を通した人間形成の場としての意義が込められています。
管理者は「マネージャー」または「ペアレント」
施設の運営責任者は「マネージャー」と呼ばれますが、昔ながらの言い方で「ペアレント」と呼ばれることもあります。
多くのホステルでは夫婦で運営していることが多く、家族的な温かさやアットホームな雰囲気を感じることができます。
ユースホステルは今、どうなってる?
かつては「若者だけの宿」というイメージが強かったユースホステルですが、現在は年齢制限なし!
実際に訪れているのは、バックパッカー、シニア旅行者、ファミリー、学生グループなどさまざまです。特にヨーロッパでは大人の一人旅の宿としても定番です。
まとめ:旅の新しい選択肢としての「ユースホステル」
ユースホステルは、単なる安宿ではなく、旅を通じて人とつながる場所であり、旅の本質を感じられる貴重な空間です。
筆者もこの記事を書きながら、実際に利用してみたいという気持ちが高まってきました。最初は「成人パス会員」か「終身パス会員」で始めるのがよさそうですね。
「安くて安全」「人との出会い」「世界中に広がるネットワーク」——そんなユースホステルの魅力を、ぜひ一度体験してみてはいかがでしょうか?
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