最近、とあるスーパー銭湯で「レジオネラ菌のため営業を一時停止します」との貼り紙を見かけました。「レジオネラ菌」とは一体どんな菌なのでしょうか?この記事では、レジオネラ菌の正体、感染経路、症状、そして予防法まで、わかりやすく解説します。
レジオネラ菌とは?自然界に広く存在する細菌
レジオネラ属菌は、河川、湖水、温泉、土壌などの自然環境に生息する細菌です。これまでに約60種類が発見されており、なかでも「レジオネラ・ニューモフィラ」は、重篤な肺炎を引き起こすことで知られています。
レジオネラ症とは?2つのタイプが存在
レジオネラ属菌に感染すると「レジオネラ症(legionellosis)」を発症します。主に以下の2タイプがあります:
1. レジオネラ肺炎(在郷軍人病)
- 1976年、アメリカの在郷軍人の集会で集団感染が起きたことから名づけられました。
- 重症化することが多く、発熱・咳・呼吸困難・意識障害・下痢など多彩な症状が見られます。
2. ポンティアック熱
- 1968年、ミシガン州ポンティアックでの集団感染が由来。
- 一過性の発熱や筋肉痛がみられますが、自然に回復することがほとんどです。
感染経路|人から人へは感染しない!
レジオネラ症は人から人へは感染しません。主な感染経路は以下の通りです:
エアロゾル感染(主な経路)
- 汚染された冷却塔水、加湿器、循環式浴槽から発生する**細かい水の霧(エアロゾル)**の吸入。
吸引・誤嚥による感染
- 温泉や河川で溺れた際、汚染水を吸い込むことで感染することがあります。
土壌からの感染
- 腐葉土などの粉じんを吸い込んだことによる感染例も報告されています。
症状|レジオネラ肺炎の特徴に注意
感染後2〜10日の潜伏期間を経て発症します。
レジオネラ肺炎の主な症状:
- 高熱(38℃以上)、咳、寒気、呼吸困難
- 倦怠感、頭痛、食欲不振、筋肉痛
- 中枢神経系の症状(幻覚、意識障害、手足の震え)
- 下痢や心筋炎などの非呼吸器系症状も
ポンティアック熱の症状:
- 突然の発熱、悪寒、筋肉痛
- 数日で自然に回復
感染予防|家庭でもできる対策とは?
加湿器の衛生管理
- 超音波式加湿器は毎日洗浄&水の入れ替えが必須。
- 蒸気式(加熱式)はレジオネラ属菌が死滅しやすく安全性が高いです。
浴槽のメンテナンス
- 循環式浴槽や24時間風呂では、**ぬめり(バイオフィルム)**が繁殖の温床に。
- 取扱説明書に従い、定期的な洗浄と清掃を心がけましょう。
治療方法と診断|早期対応がカギ!
治療方法:
- レジオネラ肺炎:**抗菌薬(マクロライド系、ニューキノロン系、リファンピシンなど)**で治療可能。
- ポンティアック熱:多くの場合、治療不要で自然回復します。
※現在、ワクチンは存在しません。
診断方法:
- 尿中抗原検査、培養、LAMP法、血液中の抗体検査など
- ※過去の感染歴でも陽性が出る可能性があるため、慎重な判断が求められます。
日本国内での感染状況は?
日本では1999年より全件報告制となり、年間を通じて発生が見られますが、特に7月〜9月に多く発生しています。これは温泉や旅行シーズンと関係していると考えられています。
また、中国・韓国・トルコ・イタリア・台湾など、海外旅行中に感染したとみられる例も増加しています。
感染リスクが高い人は要注意!
以下の方々は特に注意が必要です:
- 高齢者、新生児
- 透析や移植を受けた患者
- 喫煙者、過度の飲酒者
- 免疫力が低下している人(がん治療中など)
まとめ|正しく知って、正しく防ごう
レジオネラ菌は自然界に広く存在し、私たちの身近な生活空間にも潜んでいます。しかし、正しい知識と予防策を身につけていれば、感染リスクは大きく下げることができます。
温泉や加湿器を使用する際は清掃を怠らず、特に免疫力の低い方は注意を!
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