魚を食べた後、顔が赤くなったり、じんましんが出た経験はありませんか?
実はそれ、ヒスタミン中毒と呼ばれる食中毒の可能性があります。ヒスタミン中毒は、魚やその加工品で発生しやすく、アレルギーのような症状を引き起こします。
この記事では、ヒスタミン中毒の原因や症状、予防方法についてわかりやすく解説します。
ヒスタミン中毒とは?
ヒスタミン中毒は、魚などに含まれるヒスチジンというアミノ酸が、ヒスタミン産生菌の働きによって分解されて発生するヒスタミンを大量に摂取することで起こる食中毒です。
ヒスタミンはアレルギー反応を引き起こす物質として知られており、過剰に摂取するとアレルギーに似た症状が現れます。
ヒスタミンは一度生成されると、加熱しても分解されないため注意が必要です。
ヒスタミン中毒の主な症状
ヒスタミン中毒の症状は、食後すぐから1時間以内に現れることが多く、次のような症状が知られています。
- 顔や口の周り、耳たぶの紅潮
- じんましん
- 頭痛
- 発熱
重症化するケースは少ないものの、強い症状が出た場合は抗ヒスタミン剤での治療が必要です。早めに医療機関を受診しましょう。
発生状況と発生件数
ヒスタミン中毒は、家庭だけでなく学校給食や保育園などの大規模調理でも発生しており、日本国内では以下のように報告されています。
年度 | 発生件数 | 患者数 |
---|---|---|
平成29年 (2017) | 8件 | 74人 |
平成30年 (2018) | 20件 | 355人 |
令和元年 (2019) | 8件 | 228人 |
令和2年 (2020) | 13件 | 219人 |
令和3年 (2021) | 4件 | 81人 |
(出典:厚生労働省)
給食施設などでは、たくさんの人に一度に被害が及ぶリスクがあるため特に注意が必要です。
ヒスタミンが生成される仕組み
ヒスタミンは、魚に多く含まれるヒスチジンというアミノ酸が、ヒスタミン産生菌の酵素で分解されて作られます。
ヒスタミン産生菌は海水中に存在し、魚が水揚げされた段階で付着しているケースが多いです。
魚を常温で放置するとヒスタミン産生菌が増殖し、ヒスタミンの量が増えてしまいます。
特に赤身魚(サバ、カツオ、マグロ、サンマなど)はヒスチジン含有量が多く、ヒスタミン中毒の原因となりやすい魚です。
また、発酵食品(ワイン、チーズ、ヨーグルト、味噌、醤油、納豆など)にもヒスチジンは含まれるため、体質によっては注意が必要です。
ヒスタミン中毒の予防方法
ヒスタミン中毒は、発生したヒスタミンを加熱しても壊せないため、そもそも「増やさない」ことが大切です。
以下のポイントを必ず守りましょう。
✅ 魚を購入したらすぐに冷蔵庫へ
常温に置かないことが基本。ヒスタミン産生菌の増殖を防ぐため、購入後はすぐに冷蔵保存しましょう。
✅ 釣った魚もすぐに冷却
クーラーボックスなどで冷やし、常温放置を避けることが重要です。
✅ エラや内臓は早めに処理
ヒスタミン産生菌はエラや消化管に多く付着しています。購入後、釣り上げた後はすぐに除去しましょう。
✅ 鮮度に不安がある魚は食べない
少しでも鮮度が落ちた魚は、ヒスタミンが増えている可能性があります。
✅ 異常を感じたらすぐに処分
ヒスタミンが高濃度の場合、唇や舌にピリピリした刺激を感じることがあります。その際は口に入れず捨てるようにしてください。
まとめ|ヒスタミン中毒を防いで安全に魚を食べよう
魚は栄養価の高い素晴らしい食材ですが、保管や扱いを誤るとヒスタミン中毒を引き起こす危険があります。
「買ったらすぐ冷蔵」「鮮度管理を徹底」この2つを意識して、安全に美味しく魚を楽しみましょう。
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