秋の夜空に美しく輝く満月。
「中秋の名月」とも呼ばれ、古くから日本では“お月見”を楽しむ文化があります。
そんなお月見の日に、「お月見泥棒~!」と子どもたちが元気な声を上げながら街を回る――。
最初に聞くとちょっと物騒に感じますが、実はこれ、昔から続く子どもたちのかわいらしい風習なんです。
🌕 お月見泥棒とは?
「お月見泥棒(おつきみどろぼう)」とは、中秋の名月(十五夜)の日に、子どもたちが近所の家を回ってお菓子をもらうという行事です。
地域によっては「お月見どろぼう」とも呼ばれています。
昔は、月に供えた団子や果物を子どもたちが“盗む”という形でした。
この日に限っては、盗むことが許されていた特別な日だったのです。
🍡 昔の「お月見泥棒」は本当に“泥棒”だった?
かつての子どもたちは、竿のような長い棒の先に釘や針金をつけ、縁側に置かれたお団子を器用に取っていったそうです。
しかしそれは単なる悪戯ではなく、**「子どもたちは月からの使者」**と考えられていたため、
お供え物を“取る=月へ返す”という意味があったといわれています。
お供えする側も、「盗みやすいように」と縁側や軒先に団子を置いたり、
わざと取りやすくしておくなどの“粋な配慮”をしていたそうです。
🍬 現代の「お月見泥棒」は日本版ハロウィン?
現在では、実際にお供え物を盗むことはほとんどなく、
子どもたちは「お月見くださ〜い」「お月見泥棒で〜す」と声をかけながら、
近所の家を回ってお菓子をもらう形に変わっています。
この姿はまるで日本版ハロウィン。
秋の夜、子どもたちの元気な声が地域に響き、笑顔と交流が生まれます。
🏘️ どんな地域で行われているの?
「お月見泥棒」は全国どこでも行われているわけではありません。
主に以下の地域で今も風習が残っています。
- 愛知県日進市・名古屋市名東区・緑区
- 三重県四日市市、桑名市、川越町、朝日町
- 福島県東白川郡塙町
- 宮崎県西都市・宮崎市の一部
- 千葉県や茨城県の一部
- 奈良県北部
- 岐阜県恵那市の一部 など
地域によっては、自治体や町内会が主催して「お月見泥棒マップ」を配布したり、
安全に楽しめるよう工夫をしているところもあります。
🎑 筆者の感想:最初は“泥棒”かと思いましたが…
筆者の住む地域ではこのような行事はありません。
そのため、初めて「お月見泥棒」という言葉を聞いたときは、
「えっ、新手の泥棒?」と驚きました。
しかし調べてみると、これは子どもたちの健やかな成長と地域のつながりを願う風習。
昔ながらの日本らしい温かさを感じます。
🌝 まとめ:お月見泥棒は“つながり”を生む伝統行事
お月見泥棒は、ただの「お菓子をもらうイベント」ではなく、
地域の人たちが子どもを見守り、交流する温かい行事です。
日本の風習が時代とともに形を変えながらも、
こうして受け継がれているのはとても素敵なことですね。
もしあなたの地域でも行われているなら、
今年の十五夜はちょっと外に出て、子どもたちの笑顔に耳を傾けてみてはいかがでしょうか。

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