自宅前に停めたクルマが、ほんの少しだけ道路にはみ出している。
「これくらいなら大丈夫でしょ?」──そう思っていませんか?
実は、その“ちょっとくらい”が法律違反になり得るのです。
しかも、近隣トラブルや交通事故の原因にもなる危険な行為。
この記事では、はみ出し駐車(通称「はみちゅう」)の法的リスクと防止のポイントをわかりやすく解説します。
🅿️ 「はみちゅう」とは?
「はみちゅう」とは、「はみ出し駐車」を略した言葉です。
住宅街などで、自宅の駐車場に停めた車の先端や後部が少し道路に出ている状態を指します。
「駐車場が狭いから仕方ない」「通行に支障ないから問題ない」と思いがちですが、
実際にはこの“少し”が法律上の違反に該当する可能性があります。
SNS上でも、
「近所の車がはみ出していて見通しが悪い」
「子どもが飛び出してきても見えない」
といった声が多く、地域の安全を脅かす行為として問題視されています。
⚖️ 法律的にはどうなる? 〜2つの法的リスク〜
1. 車庫法違反(車庫法第11条)
「自動車の保管場所の確保等に関する法律」では、
“何人も道路上を自動車の保管場所として使用してはならない”
と明確に定められています。
つまり、公道に車体の一部でもはみ出していれば、道路を保管場所として使っていると判断される場合があります。
この場合、
- 3カ月以下の懲役
- または20万円以下の罰金
が科される可能性も。
特に、日常的・継続的にはみ出して駐車している場合は要注意です。
2. 道路交通法違反
「道路交通法」では、車両を駐車する際の余地と位置の基準が細かく定められています。
たとえば:
- 駐車した際、車の右側に3.5メートル以上の通行スペースが必要
- 交差点の端やカーブから5メートル以内は駐停車禁止
- 他の交通を妨げてはいけない
はみ出しによって歩行者や車の通行を妨げる場合、
これらの規定に違反する可能性が出てきます。
🚘 なぜ「はみちゅう」が起こるのか?
根本的な原因には、車庫証明制度が関係しています。
車を購入したり、住所を変更したりするときは、警察署で車庫証明書を取得する必要があります。
その条件のひとつが、
「車両全体が敷地内に収まること」。
つまり、本来ならはみ出すようなスペースでは車庫証明が下りないはずです。
しかし現実には、
- 駐車場に自転車や物置を置いてスペースが狭くなる
- 後から大型車に買い替えて収まらなくなる
などの事情で、結果的に“はみ出さざるを得ない”状態が生まれています。
👮♀️ 「少しだけなら平気」は通用しない
「数センチなら警察も見逃してくれる」と思う人もいますが、
悪質な場合や通報があれば警察の指導対象になることがあります。
実際、近隣住民からの通報を受けて警察が現場確認を行い、
「改善指導」を受けた例もあります。
取り締まり云々の前に、はみ出し駐車は事故リスクが高い行為であることを忘れてはいけません。
- 見通しが悪くなり、歩行者や自転車の飛び出しが見えにくくなる
- 狭い道路では緊急車両の通行を妨げる可能性がある
これらは「少しだから」では済まされない事態を招きます。
💡 トラブルを防ぐための対策
では、はみ出し駐車を防ぐにはどうすればいいのでしょうか。
以下の3つを意識することで、未然にトラブルを防げます。
① 駐車スペースの見直し
駐車場内に置いている自転車・植木鉢・物置などを整理し、
本来のスペースを確保しましょう。
わずか30cmでも余裕が生まれれば、はみ出し防止につながります。
② 車のサイズを再確認
車を買い替えるときは、駐車スペースの実寸と車体サイズを必ず確認。
特にSUVやミニバンはサイズオーバーしやすいので要注意です。
③ 近隣とのコミュニケーション
はみ出しが避けられない場合は、隣家や自治会に一言伝えることも大切。
「黙って停める」よりも、トラブル防止につながります。
📝 まとめ:「ちょっとくらい」が命取りになる前に
はみちゅう(はみ出し駐車)は、
- 車庫法・道路交通法違反になる可能性がある
- 近隣トラブルや交通事故の原因にもなる
- 所有者自身の責任が問われる
という、見過ごせない問題です。
筆者の住む地域でも、はみちゅうは日常的に見かけます。
しかし、警察が動くのは残念ながら事故や通報があってから。
車庫証明も「取得後の実態までは追跡されない」のが現状です。
それだけに、私たち一人ひとりの意識と配慮が何より大切です。
「ちょっとくらい」と思う前に、今一度ご自身の駐車スペースを見直してみてください。

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