連日うだるような猛暑が続くこの夏。皆さんはエアコンの設定温度を何度にしていますか?
実はこの時期、**「夏型ヒートショック」**という見落としがちな健康リスクが潜んでいます。ヒートショックというと冬場のものと思いがちですが、夏こそ要注意なのです。
年間2万人が犠牲に ― 夏のヒートショックとは?
「ヒートショック」とは、急激な温度差によって血圧が大きく変動し、心臓や脳にダメージを与える現象です。
福井県済生会病院の循環器内科・前野孝治医師によると、国内で年間約2万人がヒートショックで亡くなっているといいます。しかもこれは冬だけでなく、夏にも発生しているというのです。
たとえば、外の気温が35℃で室内のエアコンが21℃設定。14度もの温度差が血管に大きな負荷を与え、脳卒中や心筋梗塞、心臓発作といった命に関わる疾患の引き金となるのです。
夏に多発する「脳梗塞」に注意!
特に注意が必要なのが脳梗塞です。暑さで脱水状態になっていると、血液がドロドロになりやすく、血流の停滞とともに血栓ができやすくなるためです。
国立循環器病研究センターのデータによると、脳卒中の一種である脳出血は冬に多く、脳梗塞は夏に多くなる傾向があると報告されています。
こんな生活が危ない ― 夏型ヒートショックが起こりやすい状況
次のような条件下では、夏型ヒートショックが起こりやすくなります。
- 屋外と屋内の気温差が10度以上ある(特にトイレ・廊下・浴室など非冷房空間への移動)
- 冷えた体のまま40℃以上の風呂に入る(飲酒後や帰宅直後の冷水シャワーも危険)
- 高齢者(65歳以上)や高血圧・糖尿病などの持病を持っている人
今すぐできる!夏型ヒートショック対策
- エアコンの設定温度は外気との差を5~7度以内に
例:外気が35℃なら、室温は28~30℃程度が目安。 - こまめな水分補給を忘れずに
喉が渇いていなくても、定期的に水分を取ることが重要です。 - アルコールの摂取は控えめに
利尿作用で脱水を進行させ、リスクが高まります。 - 入浴前後の温度調整を工夫
風呂に入る前は、軽く汗をかく程度に体を温めておくと◎。
【筆者の体験】炎天下のテニスがヒートショックのリスクに?
筆者は週末テニスプレイヤーですが、35℃越えの炎天下でプレイした後、冷房の効いた車内や自宅に直行することが少なくありません。
このような生活は、自覚のないままヒートショックに体をさらしている可能性があります。
最近はなるべく、エアコンの効いた場所に入る前に日陰でクールダウンしたり、入浴時もぬるめの湯から段階的に温度を上げるよう意識しています。
まとめ:猛暑でも“温度差”に気をつけよう
快適な冷房が命を脅かす“落とし穴”になることもあるこの夏。特に高齢者や持病のある方、小さなお子さんがいるご家庭では、エアコンの設定温度や温度差への配慮がとても重要です。
まだまだ暑さが続く見通しのこの時期、温度差に強い体づくりと賢い生活習慣で、健康的な夏を乗り切りましょう。
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