「ブタクサ」という名前を聞いたことはありますか?
ちょっとユニークな響きですが、実は私たちの生活に大きな影響を与える植物です。特に 秋の花粉症の代表的な原因 として知られており、日本でも多くの人が悩まされています。今回は、ブタクサの特徴や花粉症の症状、そして効果的な対策についてまとめてみました。
ブタクサの基礎知識
- 学名:Ambrosia artemisiifolia
- 分類:キク科ブタクサ属の一年草
- 原産地:北米(現在は世界中に帰化分布)
- 日本への渡来:明治初期(1880年頃)に入ってきて、昭和初期に定着化
現在では、全国の河川敷や道端などで普通に見られる雑草です。草丈は 30〜120cmほど、大きいものでは2m近くまで成長することもあります。夏の終わりから秋(7〜9月頃)にかけて、黄緑色の小さな花を多数咲かせます。

花粉症との関係
ブタクサは、秋の花粉症の大きな原因植物 として知られています。
- 花粉の飛散時期:8〜10月
- 粒子の大きさ:18〜20μm(スギ花粉の半分程度)
- 特徴:粒子が小さいため、鼻腔だけでなく 気管支や肺に入り込みやすい
そのため、鼻炎症状に加えて 咳や喘息のような症状 が出やすいのがブタクサ花粉症の特徴です。
また、最新の研究(Wang et al., 2023)では、ブタクサ花粉に含まれる主要アレルゲン Amb a 1 が、肉眼では見えない微小粒子(PM1.1以下)に含まれることが明らかになっており、喘息や鼻炎との関連が指摘されています。
主な症状
ブタクサ花粉症によって引き起こされる症状には以下があります。
- 鼻水、鼻づまり
- 目のかゆみ、充血
- のどのかゆみ、違和感
- 咳や息苦しさ(喘息症状)
- 倦怠感、集中力の低下
春の花粉症と似ていますが、呼吸器症状が強く出ることがある点が特徴です。
食べ物との交差反応
意外と知られていないのが 「交差反応」 です。
ブタクサ花粉にアレルギーがある人は、以下の食べ物で「口の中のかゆみやチクチク感、唇の腫れ」といった 口腔アレルギー症候群 を起こすことがあります。
- メロン
- スイカ
- バナナ
花粉症の時期にこれらを食べて症状が出る場合は注意が必要です。

ブタクサ花粉症の対策
ブタクサの花粉はスギなどと違って飛散距離が短いのが特徴です。その性質を踏まえた対策が有効です。
- ブタクサが群生する場所に近づかない
河川敷や空き地は要注意。散歩やジョギングコースを見直すのも一案です。 - マスク・眼鏡の活用
粒子が小さいため、一般的なマスクをすり抜けることも。症状が強い場合は、フィルター性能の高いマスクを選ぶと安心です。 - 服や髪についた花粉を落とす
帰宅時に上着をはたく、洗顔やうがいを徹底するだけでも症状軽減につながります。 - 薬の使用
市販の抗アレルギー薬や点鼻薬で症状を和らげることが可能です。重い症状が続く場合は医師に相談しましょう。
まとめ
ブタクサは「ただの雑草」と思われがちですが、実は 秋の花粉症の主犯格 です。猛暑の影響により成長が促進され、その花粉の飛散が拡大傾向にあるようです。
スギやヒノキ花粉ほど知られていない分、対策が遅れがちですが、正しい知識を持つことで症状を大きく抑えることができます。
秋に「鼻水や咳が止まらない」「息苦しい」と感じる場合、それは風邪ではなく ブタクサ花粉症 かもしれません。季節ごとの花粉症対策を意識して、快適な秋を過ごしましょう。
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