近年、子どもから大人まで日常生活に欠かせなくなったスマートフォン。
しかしその一方で「使いすぎが健康や家庭生活に悪影響を与えているのでは?」という懸念も高まっています。
そんな中、愛知県豊明市議会が「スマホ利用に関する条例案」を可決しました。注目されるのは、子どもだけでなく 全市民を対象 にした全国初の取り組みだという点です。
本記事では、豊明市の条例内容や国内外の動向、専門家の意見を紹介しつつ、「スマホ使用時間の制限は本当に必要なのか?」を考えてみます。
豊明市のスマホ条例とは?
2025年10月1日から施行される豊明市の条例は、市民約6万8,000人すべてが対象です。内容は以下の通りです。
- 余暇でのスマホ利用は1日2時間以内が目安
- 小学生以下は午後9時まで、中学生以上(18歳未満)は午後10時までに利用を終えることを推奨
- 罰則なしの「理念条例」
市の狙いは「過度なスマホ利用が生活や健康に悪影響を及ぼし、家庭内の対話を減らしている」点を改善すること。
市長も「市民の権利を制限するものではなく、家庭で話し合うきっかけにしてほしい」と強調しています。
とはいえ発表後、市役所には300件以上の意見が寄せられ、
「自由を奪うものだ」といった批判から「スマホ依存対策として有意義」といった賛成意見まで賛否両論がありました。

世界でも広がる「スマホ・SNS規制」
スマホ使用を制限しようとする動きは、実は世界各国でも見られます。
- オーストラリア:16歳未満のSNS利用を禁止する法案が可決
- 中国:子どものオンラインゲームを「金土日・祝日の各1時間」に制限、企業にも利用制限を義務付け
一方で、こうした一律規制に対して「効果は疑問」「かえって逆効果になるのでは?」という批判も少なくありません。
専門家の見解:年齢や時間制限は本当に効果的?
オックスフォード大学のアンドリュー・シュビルスキー教授は、各国で広がる規制に疑問を投げかけています。
- 時間制限には科学的根拠が乏しい
- 同じ年齢でも成熟度やスキルには差がある
- 年齢や時間で区切ると「正しい使い方を学ぶ機会」を奪う
- 本当に必要なのは「ネットリテラシー教育」と「親子の対話」
また教授は「ネット利用がすべて悪ではない」とも指摘します。遠方の人との交流や学習ツールとしての活用は、むしろメンタルヘルスに良い影響を与えることもあるのです。

本当に危険なのは「ながらスマホ」と搾取被害
スマホ利用のリスクといえば「依存」や「メンタルへの影響」が注目されがちですが、シュビルスキー教授はもっと深刻なリスクがあると警告しています。
- ながらスマホによる交通事故 → 米国では飲酒運転と並ぶ死亡要因
- 子どもへの性的搾取 → 小児がんより高い確率で発生
つまり、リスクを一律に「スマホは悪」とするのではなく、何が本当に危険なのかを見極めることが重要なのです。
家庭でできるスマホとの付き合い方
では、子どもにどうスマホやネットを使わせればよいのでしょうか?
教授の提案はシンプルです。
- 年齢や時間で縛るよりも、親子で会話を重ねる
- 「何をしているのか」「誰とつながっているのか」を理解する
- ネット利用を「取り上げる」罰にするのではなく、健全な活用法を一緒に考える
まるで子どもを一人でコンビニに行かせる時と同じように、ネットも「成長に応じて経験させる」ことが大切です。
まとめ:スマホの使い方を考えるきっかけに
愛知県豊明市のスマホ条例は賛否を呼んでいますが、重要なのは「使う時間」そのものよりも、どのように使うかという点でしょう。
- 規制や制限は万能ではない
- 家庭や教育現場でネットリテラシーを育むことが必要
- 本当に危険なリスク(ながらスマホや搾取被害)への意識を高める
何より、スマホは便利な道具であり、学習や交流を広げる大きな可能性を持っています。
「時間制限」よりも「自分で判断し、責任を持って使う力」を養うことこそが、これからの社会に求められる姿勢なのかもしれません。
👉 あなたは「スマホ使用時間の制限」に賛成ですか?それとも「教育や対話で解決すべき」と考えますか?コメントで意見を聞かせてください。
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