はじめに
秋の紅葉シーズンを前に、観光都市・京都で異変が起きています。
これまで修学旅行や週末旅行の定番だった京都ですが、最近では「混雑がひどい」「外国人観光客ばかりで落ち着かない」と、日本人観光客の“京都離れ”が進んでいるのです。
かつて日本人が愛した古都・京都に、今何が起きているのでしょうか。
京都を襲うオーバーツーリズム
京都は世界的に人気の観光都市で、伏見稲荷大社や清水寺、祇園といった名所は常に多くの人であふれています。
しかし、その多くが外国人観光客。2024年の宿泊者数では、日本人が809万人に対し、外国人が821万人と初めて逆転しました。
観光地ではこんな光景も報告されています。
- 消防活動をスマホで至近距離から撮影する外国人
- 名所で立ち止まって写真を撮り続けるため混雑が悪化
- 飲食物を持ち込んで伝統工芸品を汚す被害
日本人観光客からは「人が多すぎて楽しめない」という声が増え、修学旅行先を京都から変更する学校も出始めています。

京都離れが及ぼす影響
地元住民や老舗店の苦悩
京都の街に根付いてきた伝統産業や老舗店にも影響が出ています。
140年続く「つげ櫛」の店では、日本人客の減少に加え、外国人観光客による商品の破損や店内の汚れといったトラブルが増加。
地元住民からも「ホテル代がインバウンド価格で高すぎる」「これなら日帰りで十分」といった声があがっています。
花街の文化にも変化
芸妓や舞妓の文化を支えてきた常連客からも「行きにくくなった」と苦言が。舞妓さんを一目見ようと押し寄せる観光客が、花街の雰囲気を損なっているのです。
筆者の体験談
私自身も数年前、パワースポット巡りで京都を訪れました。
しかし、街は外国人観光客で埋め尽くされ、写真を撮ろうにも人が必ず映り込む状態。
コンビニすら混雑し、落ち着いた“古都のエネルギー”を感じるどころか、むしろ疲れてしまいました。
この体験から「京都らしさが失われているのではないか」と痛感しました。
オーバーツーリズム対策の可能性
世界の観光地では、すでにさまざまな対策が取られています。
- 観光税・入場料の導入:ベネチアでは日帰り観光客に入場料を課す制度が導入されました。
- 外国人向け料金設定:タイではトイレ有料や外国人価格メニューが一般的。地元住民の生活と観光を分けています。
- 観光客の分散化:混雑エリアを避け、郊外や隠れスポットに誘導する取り組み。
京都でも、これらの取り組みを参考にしながら、観光と生活のバランスを見直す時期に来ているのではないでしょうか。

まとめ
京都離れは単なる一時的な現象ではなく、オーバーツーリズムが引き起こす深刻な課題です。
外国人観光客が増えること自体は京都の魅力の証明ですが、その一方で「地元住民」「日本人観光客」「伝統文化」にしわ寄せがいくのは避けたいところ。
観光都市・京都が持続可能な魅力を保つためには、
- 外国人と日本人のバランスを意識した観光政策
- 価格や入場規制などの仕組みづくり
- 文化と暮らしを守るルールづくり
が不可欠だと言えるでしょう。
次に京都を訪れるとき、私たちが心から「やっぱり京都はいい」と思えるような環境が整うことを願っています。
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