私たちは日常の中で、当たり前だと思っていることを深く考える機会があまりありません。
たとえば「醤油は何色?」と聞かれたら、あなたはどう答えるでしょうか。
小学生たちが見つけた「色の違い」
夏休みのある日、東京・日本科学未来館に集まった小学生たちに、「醤油は何色?」という質問が投げかけられました。
「茶色!」「黒!」「赤褐色!」と次々に答える子どもたち。
一つの質問に対して、これだけ多様な答えが出るのは面白いですね。
さらに、講師から「透明の醤油もある」と教えられたとき、会場には驚きの声が広がりました。
実際、最近では「透明醤油」が開発され、見た目は水のようでも、味はしっかり醤油という不思議な商品が存在します。
「思い込み」に気づく ― アンコンシャスバイアスとは?
この授業のテーマは「アンコンシャスバイアス(無意識の思い込み)」です。
人は経験や文化、周囲の影響から「こうあるべき」と自然に考えてしまう傾向があります。
たとえば、
- 「男の子はスカートをはかない」
- 「理系は男性が多い」
- 「年上の人が正しい」
こうした思い込みは、無意識のうちに人を枠にはめてしまうことがあります。
このような“無意識の偏見”こそが、アンコンシャスバイアスなのです。
学校での取り組み ― 思いやりを育む授業
東京都内の小学校では、このアンコンシャスバイアスをテーマにした授業が行われています。
あるクラスでは、「同調バイアス(周囲の意見に流される傾向)」について話し合いがありました。
子どもたちは、
「みんなが手を挙げているから、分からなくても挙げてしまう」
という実体験を挙げ、共感し合いました。
教師が「気付くとどうなるかな?」と問いかけると、
「友達が増える」「差別を防げる」
という前向きな意見が出てきたそうです。
小さな気付きが、思いやりの芽を育てているのです。
大人にも必要な「気付きの習慣」
アンコンシャスバイアスは、子どもだけでなく大人にも大きく影響します。
たとえば職場で、
- 「この人は若いから頼りない」
- 「主婦だから残業できないだろう」
といった思い込みが、本人の可能性を狭めてしまうこともあります。
アンコンシャスバイアス研究所の守屋智敬さんは、
「質問を重ねることが気付きの第一歩」と話します。
「どう思いますか?」と相手に尋ねることで、自分自身の固定観念にも気づけるのです。
日本人は「同調バイアス」に弱い?
筆者も、社会で暮らす中で「みんながやっているから」「周りに合わせておこう」という言葉をよく耳にします。
これはまさに「同調バイアス」の影響です。
日本では、周囲との調和を大切にする文化があるため、特にこの傾向が強いと感じます。
しかし、「違い」を恐れずに発言できる社会こそ、多様性を受け入れ、より創造的な発想を生む社会ではないでしょうか。
まとめ ― 醤油の色から始まる多様性の学び
「醤油の色は何色?」という小さな問いは、私たちの“思い込み”に気づくきっかけをくれます。
見た目や常識にとらわれず、「違ってもいい」と認め合うこと。
それがアンコンシャスバイアスを超えて生きる第一歩です。
次に誰かと話すとき、ぜひこう尋ねてみてください。
「あなたはどう思いますか?」
その答えの違いこそ、世界を広げるヒントになるはずです。

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