FIRE(Financial Independence, Retire Early:経済的自立と早期リタイア)を実現した後、どこで暮らすか——これは多くのFIRE民にとって大きなテーマです。
今回は、前回の記事「FIRE後を見据えた海外移住トライアル」で取り上げたタイに続き、他の候補地/国の最新状況と評価をまとめてみました。
この記事が、海外移住を検討中の方の参考になれば幸いです。
更新した採点表について

前回は「物価」「ビザ取得のしやすさ」「安全性」などの項目で採点しましたが、今回は以下の項目を追加しました。
- 家賃
- 光熱費
- 政治情勢
- 賃金(参考値)
また、候補国として以下の6か国を追加しています。
👉 オランダ、カナダ、メキシコ、ドバイ、ポルトガル、トルコ
各国の特徴と移住のポイント
① オランダ:社会福祉と英語環境が魅力
オランダはヨーロッパでも人気の高い移住先。
社会保障制度が整い、労働環境・生活水準ともに高く、FIRE後の「ゆとりある生活」に最適な国です。
英語が広く通じるため、語学の壁が低いのも安心。
さらに注目すべきは、「日蘭通商航海条約」によるフリーランスビザの優遇措置です。
- ビザ申請費用:約4万円
- 個人事業主として開業する場合:約65万円の投資資金が必要
- ビザ取得難易度:★★☆☆☆(日本人は特例的に優遇)
ヨーロッパ各国へのアクセスが容易な点も魅力です。
ただし、**ウクライナ情勢による物価上昇(特に家賃・光熱費)**が2024~2025年にかけて顕著で、費用面の負担はやや増加傾向にあります。
② カナダ:多様性と自然に恵まれた国
カナダは多民族国家であり、外国人に寛容な国民性が特徴です。
広大な自然と高い生活水準が共存し、「都会と自然のバランス」が取れた環境です。
永住権も比較的取得しやすく、労働力不足を背景に移民を積極的に受け入れています。
ただし、申請時には**英語力(IELTSなど)**が求められます。
- 永住権申請制度:Express Entry / Family Class など
- 英語力:必須
- 物価:やや高め(特に都市部)
- 冬の寒さ:厳しい地域が多い(例:トロント、モントリオール)
寒冷な気候と生活コストが課題ですが、安全性・教育レベルの高さ・医療制度を重視する方には適しています。
③ メキシコ:コスパと気候のバランスが魅力
メキシコは物価が安く、温暖な気候で暮らしやすい国です。
日系企業の進出も多く、日本人コミュニティも充実しています。
- 永住権取得条件:
・配偶者ビザで2年間滞在
・または一時滞在許可証で4年間滞在 - 手続きの難易度:★★☆☆☆(比較的容易)
- メリット:親日的、温暖な気候、食文化が豊か
- デメリット:一部地域での治安不安
2025年現在、カンクンやメキシコシティ郊外などの安全エリアでは治安改善が進み、デジタルノマドにも人気が高まっています。
④ ドバイ(UAE):税制の自由度が圧倒的
所得税・法人税がほぼゼロのドバイは、資産管理や起業目的のFIRE民に人気上昇中です。
- 起業ビザ制度あり(最短1年更新)
- 不動産利回り:平均5~9%(税金なし)
- 治安:非常に良好
- 生活コスト:高め(特に家賃)
気候は非常に暑く、夏季は50℃を超える日も。
富裕層向けの都市型移住に向いています。
⑤ ポルトガル:穏やかな気候と生活コストの安さ
ポルトガルは、ヨーロッパで最もFIRE民に人気の国のひとつです。
治安が良く、食文化や人柄も日本人に合いやすい国といえます。
- ゴールデンビザ制度あり(不動産投資による居住権)
- 必要投資額:35万~50万ユーロ
- 主要都市(リスボン、ポルトなど)では新規申請不可(2022年法改正)
- 英語対応:◎(観光・都市部)
2年間で計14日間の滞在でビザ維持が可能なため、日本との二拠点生活も実現できます。
ただし、初期投資費用が高額なのが難点です。
⑥ トルコ:欧亜文化の交差点
トルコはヨーロッパとアジアの文化が交差する魅力的な国。
不動産投資を通じたビザ制度が整備されており、50,000ドル程度から移住可能です。
- 短期居住許可(1~2年)更新制
- 40万ドル以上の物件購入で市民権取得も可能
- 5年間の居住で永住権申請可
- 注意点:市民権取得には兵役義務が含まれる
政治情勢がやや不安定な時期もあり、長期居住を検討する際は最新情報の確認が必須です。
総評と今後の注目国
今回の評価では、オランダとカナダが特に高得点を得ました。
社会インフラ・教育・治安のバランスが良く、FIRE後の長期滞在にも向いています。
ただし、オランダやカナダを含む欧米圏では、
- ロシア・ウクライナ情勢による物価上昇
- エネルギー価格の高騰
- 住宅不足
といった課題も見逃せません。
一方、メキシコやポルトガルは物価・気候面で住みやすく、リモートワーク中心のライフスタイルには好相性。
ドバイは資産運用・節税目的の富裕層向け、
トルコは中長期の試験移住としての魅力があるといえます。
そして、前回に続き高評価を得たのがオーストラリア。
英語環境・治安・医療・気候・経済安定性のバランスが良く、今後さらに詳しく検討していく予定です。
まとめ
FIRE後の移住先選びでは、
「物価の安さ」だけでなく、
治安・医療・言語・気候・法制度といった要素を総合的に考えることが大切です。
今回紹介した6か国も、それぞれ個性があり、ライフスタイルや目的によって向き不向きが異なります。
次回は、引き続き高評価だったオーストラリアのFIRE移住事情について、現地の生活コストや永住権制度を詳しく見ていきます。
この記事が、FIRE後の海外移住を検討する方のヒントになれば幸いです。

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