


まず、虫歯治療で使われる「アマルガム」について、基本的な知識を整理します。
アマルガムの概要
- アマルガム(正式には「歯科用アマルガム」)は、銀・錫(スズ)・銅などの合金粉末と液状の金属水銀(約 42~50%)を混ぜて硬化させた充填材料です。
- 長年にわたり、虫歯の詰め物材として「銀歯(見た目銀色の金属)」として使われてきた背景があります。
- 歯科修復材料として、コスト・耐久性・扱いやすさの面で実績があり、特に奥歯の治療など「強く噛む部分」に用いられてきたこともあります。
なぜ議論になっているのか?
- 最大の論点は「水銀(マーキュリー)」が含まれていることです。水銀は環境汚染・人体への影響が懸念される物質であり、これが“口内に金属水銀がある”という点で注目されています。
- そのため、「アマルガムを使い続けることによる健康リスク」や「環境への水銀排出」の両面から、近年、使用を減らす(フェーズダウン/フェーズアウト)動きが出ています。
最新の国際的・国内的な動き


国際条約・規制の動き
- 水銀に関する水俣条約(通称:ミナマタ条約)は、水銀を含む製品・工程の使用を制限する国際協定で、歯科用アマルガムもその対象になっています。
- 条約第6回締約国会議(COP6)では、「歯科用アマルガムの製造・輸出入を2034年末までに禁止する合意」が報じられています(ご提示のニュース抜粋より)。
- 欧州連合(EU)では、2025年1月1日からアマルガムの使用を原則禁止。製造・輸入も2026年7月1日から禁止される方向です。
- その他、国別に「公共歯科プログラムからの除外」「子ども・妊婦への使用禁止」などの措置を取る国も増えています。
日本の状況
- 日本では、2016年に保険適用からアマルガムの詰め物が除外されており、事実上「保険診療で使われない」材料となっています。ご提示ニュースにも記されています。
- 環境省の見解として、「既にアマルガムを使っている人で、虫歯の再発などがなければ、除去する必要はない」としています(ニュース抜粋)。
- また、国内でも条約対応として「歯科用アマルガムのフェーズダウン」を進めている旨の政府提出資料が確認されています。
最新の“補足”ポイント
- 最近の研究では、アマルガム使用廃止(フェーズアウト)による「長期的な口腔健康への影響」についても検討されており、アマルガムを使用しない治療方式に移行することで歯科修復材料のコスト・手技・耐久性の課題も浮上しています。
- また、環境負荷(歯科医院からの水銀流出)に対する対策として、“アマルガムセパレータ”など、歯科オフィスでの廃棄管理・回収装置の設置が研究されています。
健康リスク/安全性の見解


虫歯治療でアマルガムが使われていた場合、特に気になるのは「人体への影響」です。以下、現在の科学的な見解をできるだけ分かりやすく整理します。
主な調査結果
- 米国食品医薬品局(FDA)は、アマルガム詰め物からの水銀蒸気曝露について「一般人口では健康への有害な影響を示す十分な証拠がない」としています。
- アメリカ歯科医師会(ADA)も「一般の成人・子どもで、適切な技術で使用されたアマルガム修復は安全性と有効性の実績がある」とする立場をとっています。
- 一方で、「複数のアマルガム詰め物を持つ人では、血液・尿中の水銀レベルがわずかに高くなる」という報告もありますが、※そのレベルが臨床的に問題になるとは認められていません。
- また、「アマルガム詰め物を除去しても、疲労・めまい・集中力低下などの不定愁訴が改善されたとは、信頼できるランダム化研究では確認されていない」とする系統的レビューもあります。
リスクが特に懸念されるグループ
- 腎機能が低下している人、神経発達期(例:乳幼児・胎児)、水銀に過敏なアレルギーを持つ人、などでは注意が提言されています。
- 研究の中には「アマルガムからの水銀蒸気量が、電磁波・咀嚼・歯ぎしり・温度変化などによって増加する可能性」も報告されていますが、臨床的に明確な悪影響との結び付けはまだ確立されていません。
結論としての安全性判断
現時点では、「一般の健康な成人が、医師・歯科医師の適切な管理のもとでアマルガム詰め物を持っている限り、大きな健康被害が起きるという明確な科学的証拠はない」というのが、主流の見解です。
ただし、これは「リスクゼロ」という意味ではなく、あくまで「証拠に基づいて危険性が証明されていない」というレベルであり、特にハイリスク群では慎重な判断が必要です。
あなたがチェックすべきポイント・治療・対応のヒント


過去にアマルガムを使用された可能性がある場合、以下のような観点で状況を整理・歯科医師と相談するとよいでしょう。
1. 自分の詰め物が「アマルガムかどうか」を確認
- 銀色(メタル色)の詰め物があれば、アマルガムである可能性がありますが、金属系でも別の材料の可能性もあるため、歯科医師に「この詰め物がアマルガム(水銀合金)かどうか」確認するのが第一歩です。
- 保険適用除外以降、日本では使用頻度がかなり低くなっていますので、最近詰めた詰め物であれば別の素材かもしれません。
2. 「除去する必要があるか」を慎重に判断
- 日本の環境省等の見解として、「虫歯の再発がなく、使用に伴う明確な症状がない限り、すぐに除去する必要はない」とされています。
- 除去にはリスク(詰め物を壊すと水銀蒸気が一時的に出る可能性、歯を削るリスク、追加の歯科治療費など)もあるため、安易な除去は推奨されません。
- 除去を希望する場合は、歯科医師と「安全な除去手技(防護・換気・アマルガムセパレータ使用)の有無」「代替素材の適合性」「コスト・寿命」などを確認しましょう。
3. 今後の治療/詰め物メンテナンスについて
- 今後虫歯治療を行う場合、最新の詰め物材(レジン、セラミック、金属コアなど)を歯科医師と相談し、「水銀合金ではない選択肢」が可能かどうか検討するのがおすすめです。
- 定期検診で詰め物の劣化・隙間・歯との適合性(マイクロリーク)がないか確認することで、再発リスク・材質の問題を防ぐことができます。
- 被せ物・詰め物を選ぶ際には、「耐久年数」「見た目(審美性)」「歯への負荷」「コスト」「安全性・環境性」など総合的に検討しましょう。
4. 環境面・将来的な観点も考慮
- アマルガムの使用・廃棄にあたっては「水銀の環境排出」が社会的な課題です。あなたが治療を受ける歯科医院がアマルガムセパレータ設置・適切な廃棄管理を実施しているか、軽く確認するのも一つの選択肢です。
- 今後、使用自体がさらに制限される国・地域が増えていく中で、将来「詰め替え・除去」を検討する際に選択肢が変わる可能性もあります。
私の見解(筆者の視点)
ご提示のニュースで「アマルガムを既に使った人でも虫歯の再発などがなければ除去する必要はない」とあり、これは科学的なエビデンス上妥当な対応だと考えます。つまり、「即刻アマルガムが危険だから取り替えましょう」という急激な判断ではなく、個別のリスク・状態を見て慎重に判断する姿勢です。
ただし、以下のような条件が重なる場合は、歯科医師と相談して「除去/詰め替えを検討すべき」と思います:
- 健康上、腎臓・神経系などの基礎疾患がある、または妊娠・授乳中の方。
- 詰め物の隙間・劣化・虫歯の再発が起きている。
- 長年(数十年)経っており、材質の変化・金属疲労が懸念される。
- 今後、詰め物を新しくする/大きく修復し直す予定がある。
また、あなたのように「ライフスタイル・健康」を検討している視点(旅行・FIRE・健康長寿)をお持ちであれば、「詰め物材の選択」や「将来のメンテナンスコスト・リスク」も視野に入れる価値があるでしょう。
まとめ:あなたが取るべき次のステップ
- 歯科医師に現在の詰め物材を確認(アマルガムか否か)。
- 健康状態・既往歴(腎臓・神経・金属アレルギーなど)を整理。
- 詰め物の状態(劣化・虫歯再発・隙間)の有無を定期チェック。
- 今後虫歯治療を受ける際には、アマルガム以外の材料(レジン、セラミック等)も視野に。
- 除去や詰め替えを検討する際には、メリット・デメリット(コスト・歯の削り直し・除去時の水銀蒸気対策等)を歯科医師とよく相談。

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