


冬が近づき、寒さ・乾燥・人の集まりが増えるこの時期、毎年気になるのが「季節性インフルエンザ」です。特に2025年秋~冬は、国内で患者数の上昇傾向が報告されています。
では、なぜ“毎年インフルにかかる人”がいるのか?最新のビッグデータ解析から、「かかりやすいタイプ」が明らかになってきました。
最新研究から見えた「かかりやすい5つのタイプ」



2025年11月に報道された日本の研究によれば、以下の5つの条件に該当する人は、季節性インフルエンザに“かかりやすい”傾向があったとされています。
- 血糖が「高め」
- 過去に肺炎にかかったことがある
- 睡眠不足・生活が多忙で休養が取れていない
- 栄養が不良(食事バランスが偏る・免疫力低下)
- アレルギー体質がある
さらに、上記のうち 「肺炎の既往+血糖が高め+睡眠の質が悪い」 という3条件が重なった人は、発症リスクが 約3.6倍 に上がるというデータもあります。
また、睡眠不足などの生活習慣が免疫機能に影響を与えるとの指摘も出ています。
なぜこれらが“かかりやすさ”に影響するのか?
血糖値(高め)と免疫機能
血糖値が高め(たとえば空腹時高血糖・境界型など)だと、体の免疫細胞が正常に働きづらくなるという報告があります。実際、該当研究群では「高血糖」タイプが明確に抽出されました。
血糖が急激に上がる食事を頻繁に取ることなどが、ウイルスの影響を受けやすくする可能性があります。
肺炎の既往と呼吸器のリスク
過去に肺炎に罹ったことがある人は、呼吸器・肺の状態が完全には回復していない可能性があります。この場合、ウイルス侵入や侵攻に対して弱い“橋掛かり”となることが考えられます。研究でも「肺炎既往」タイプがリスクの一因として確認されています。
睡眠不足・休養不足
睡眠不足(質・量ともに)や多忙・ストレスの高い状態は、免疫ホルモンのバランスを乱します。実際、当研究では「多忙・睡眠不足」タイプとしてクラスタリングがされており、インフル発症率が有意に高かったという分析があります。
睡眠が不足すると、免疫細胞(ナチュラルキラー細胞など)が十分に働けず、ウイルスへの“初期防御”が甘くなる可能性があります。
栄養不良・免疫低下
食事のバランスが崩れていたり、たんぱく質やビタミン・ミネラルが不足していたりすることは、免疫を作るための“素材”が足りない状態と言えます。該当研究でも「栄養不良」タイプが抽出されました。
具体的には「主食・主菜・副菜をそろえる」「5色の野菜・果物を意識」「魚・卵・大豆など良質たんぱく」などの指摘があります。
アレルギー体質
アレルギーがある人=免疫応答が敏感または慢性的に“働き続けている”可能性があります。ウイルス侵入時、過剰反応や遅延反応が発生しやすい状態も想定され、当研究でも「アレルギー」タイプとして分類されました。
今、“流行中”だからこそ知っておきたい最新状況



- 日本国内では、12週連続でインフルエンザ患者数が増加しているという報道があります。
- 特に、2025年11月には「A香港型」が約85.9%を占めているというデータもあります。
- つまり、例年より“流行の時期が早まっている”可能性も指摘されています。
このような背景から、予防・対策を早めに取り組むことが非常に重要となっています。
「かかりやすいタイプ」に当てはまる人が取るべき具体的対策
それでは、上記5タイプのうち 自分で対策できる項目(特に「睡眠」「栄養」「血糖管理」) に絞って、日常ですぐできる工夫をご紹介します。
① 血糖を急上昇させない食習慣
- 食事の際、まずは野菜・サラダを先に食べてから主菜・主食という順番に。こうすることで、血糖上昇の“ピーク”を抑えやすい。
- 高GI食品(白パン・白米だけ・甘い菓子など)を控えめにし、全粒穀物・玄米・雑穀・野菜多めの主食に替えてみる。
- 食後に軽いウォーキング(10分程度)をすることで、血糖の上がり方を穏やかにできるという報告もあります(糖尿病予防領域で言われている手法)。
→「血糖が高め」と自分が思う方、もしくは健診で空腹時血糖・HbA1cが標準よりやや高めと出ている方は、インフル対策という観点からも意識を持つと良いでしょう。
② 睡眠・休養をきちんと確保
- 成人の場合、目安として 7〜9時間の質の良い睡眠 が推奨されています。
- 就寝前1時間はスマホ・PCをオフにして、照明を落とし、副交感神経が優位になるような環境(温かい飲み物・ストレッチ)を取り入れる。
- 起床・就寝の時間を毎日できるだけ同じにし、昼間の15~20分「仮眠」を取り入れることで、眠気・疲労感が改善されたという報告も。
→多忙な仕事・役割がある方、夜間起きることが多いという方は「睡眠スケジュールを守る」「昼の仮眠を活用する」など、少しの工夫で免疫力維持につながります。
③ 栄養バランスを整える
- 毎食「主食+主菜(たんぱく質)+副菜(野菜・果物)」を意識。特に、魚・卵・大豆・鶏むね肉などをたんぱく質源に選ぶ。
- 野菜・果物は「緑・赤・黄・白・黒」5色を意識して摂取。抗酸化作用を持つ食材(例:ブロッコリー・柿・みかんなど)も積極的に。
- 朝食を抜かない。朝から体温を上げて、免疫細胞が働きやすい環境を作る。
→食の面で「つい手を抜いてしまいがち」な方こそ、冬場の“おいしさ誘惑”に負けず、少しだけ意識を変えることでリスク低減になります。
④ アレルギー体質・呼吸器ケア(補助的)
- アレルギーがある方は、花粉・ハウスダスト・ペット・室内のカビなど、日常の“アレルゲン”をできるだけ減らす。アレルギー反応が慢性的に続くと、ウイルス侵入時の備えが弱まる可能性があります。
- 喉・鼻・気道を乾燥させず、加湿やマスク着用などでウイルス侵入の最初の関門を強化。
→「アレルギーだから仕方ない」と放置せず、この冬は “アレルギー+インフル予防”の視点を持つと良いでしょう。
⑤ 既往歴に対する備え(特に肺炎経験者)
- 過去に肺炎を経験した方は、呼吸器・肺の予備力(リザーブ)を少し意識しておきましょう。例えば、風邪・インフルを引いたときに “肺に負担がかかる可能性” を頭に入れ、早期受診・加湿・安静を徹底。
- 定期健診や呼吸器の状態チェック(たとえば禁煙していない・慢性呼吸器疾患があるなら医師相談)を行う。
→既往歴は覆せない要素ですが、リスクを知った上で “準備” をすることで、重症化予防につながります。
オールラウンド対策:ワクチンも忘れずに!
もちろん、上記の“タイプ別対策”に加えて、基本となる対策も重要です。
- 手洗い・うがい・マスク・換気、湿度管理など。
- 予防接種:毎年流行株にあったワクチン接種が推奨されています。
これらを“生活習慣対策+ベーシック対策”として併用することで、安心感が増します。
まとめ:自分のリスクを知り、今できる“小さな歩み”を
いかがでしょうか。
最新の研究データにより、「インフルにかかりやすい人」のタイプがかなり明確になってきました。特に、「血糖が高め」「睡眠不足」「栄養不良」という要素は、自分で改善できる可能性が十分にあります。
この冬、「今年は大丈夫かな…?」と少しでも思っている方は、ぜひ上記の“すぐできる対策”を一つずつ実践してみてください。
たとえば:
- 今夜から「寝る1時間前にスマホをオフ」してみる
- 朝食に「たんぱく質(卵・豆製品)+野菜一品」を加えてみる
- 食後に10分だけ外を歩いてみる
こうした“小さな歩み”が、インフル発症のリスクを少しでも下げることにつながります。
また、自分が「かかりやすいタイプ」に当てはまるかどうかを振り返る機会にもなればと思います。
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この記事が、あなたの健康な冬をサポートするひとつの参考になれば嬉しいです。

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