「裁量労働制」の拡大はなぜ問題?メリットと現実、そして働く側が知るべき真実

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近年、日本政府は「裁量労働制」の拡大を検討しています。
働き方改革の一環として注目される一方で、「長時間労働が増えるのではないか」という懸念も強く、議論が再燃しています。

筆者自身も過去に裁量労働制で働いた経験があり、その理想と現実には大きなギャップがあると感じました。

本記事では、裁量労働制の仕組み、拡大が検討される理由、そしてなぜ問題視されているのかを、最新の情報と実体験を踏まえて解説します。


裁量労働制とは?仕組みを簡単に解説

裁量労働制とは、実際の労働時間ではなく、あらかじめ定めた「みなし労働時間」を働いたとみなす制度です。

例えば:

  • みなし労働時間:1日8時間
  • 実際の労働時間:6時間 → 給与は8時間分
  • 実際の労働時間:12時間 → 給与は8時間分(残業代なし)

つまり、働いた時間に関係なく、給与が一定になる制度です。

本来は、以下のような職種を想定しています:

  • 研究職
  • コンサルタント
  • システムエンジニア
  • デザイナー
  • 企画職

業務の性質上、時間ではなく成果で評価する仕事が対象です。


なぜ政府は裁量労働制の拡大を検討しているのか

背景には、日本の労働生産性の低さがあります。

日本は先進国の中でも労働生産性が低く、

  • 長時間労働
  • 非効率な会議
  • 時間ベースの評価

などが問題視されています。

裁量労働制の拡大により、政府は次のような効果を期待しています:

  • 柔軟な働き方の促進
  • 成果主義の強化
  • イノベーションの促進
  • 国際競争力の向上

特にIT・AI・研究分野では、時間ではなく成果で評価する働き方が重要とされています。


しかし現実は「長時間労働が増える」傾向

厚生労働省の調査では、裁量労働制には次の傾向が確認されています。

週60時間以上働く割合

  • 裁量労働制:9.3%
  • 通常労働:5.4%

→ 約1.7倍

つまり、裁量労働制の方が長時間労働になる傾向があるのです。


問題の本質:「裁量がないのに裁量労働制」

制度の最大の問題は、名前とは裏腹に「裁量がない」ケースが多いことです。

調査では:

  • 時間配分の裁量 → 約9割あり
  • 仕事量の裁量 → 約3割のみ

つまり、

  • 仕事量は会社が決める
  • でも労働時間は自己責任

という状態が発生しています。

これは実質的に、

残業代が支払われない長時間労働

になりやすい構造です。


「定額働かせ放題」と呼ばれる理由

裁量労働制の下では、

  • 10時間働いても
  • 14時間働いても

給与は同じです。

企業側にとっては、

  • 残業代が不要
  • 労働時間管理が緩くなる

というメリットがあります。

一方で労働者側は、

  • 長時間労働のリスク
  • 過労
  • ワークライフバランス悪化

などの問題に直面する可能性があります。


筆者の実体験:理想と現実のギャップ

筆者も過去に裁量労働制で働いていました。

制度上は「自由に働ける」ことになっていましたが、実際は:

  • 月の残業上限近くまで働く状態
  • 業務量は会社が決定
  • 納期のプレッシャー

がありました。

結果として、

労働時間は長いのに、残業代は発生しない

という状態でした。

正直な感想としては、

「裁量」ではなく
「定額働かせ放題」に近い制度でした。


2018年にも拡大は見送られた経緯

裁量労働制の拡大は、2018年にも検討されましたが、以下の問題で見送られました:

  • 統計データの不備
  • 長時間労働の懸念
  • 労働者側の強い反発

この問題は、日本の働き方改革の象徴的な議論となりました。


裁量労働制は本当に悪い制度なのか?

裁量労働制そのものは、適切に運用されればメリットがあります。

メリット

  • 自由な働き方が可能
  • 成果重視の評価
  • 効率的に働けば早く帰れる
  • リモートワークと相性が良い

特に高度専門職では有効です。


問題は「運用」

問題は制度そのものではなく、

企業の運用方法

です。

適切な条件は:

  • 業務量の裁量がある
  • 成果評価が公平
  • 労働時間の監視がある
  • 過重労働を防ぐ仕組み

これらがなければ、制度は機能しません。


今後の焦点:拡大よりも「保護強化」

専門家の間では、拡大よりも次の対策が重要とされています:

  • 労働時間の記録義務
  • 業務量の適正管理
  • 健康管理の強化
  • 適用対象の厳格化

欧米でも成果主義は一般的ですが、

同時に労働者保護も強い

のが特徴です。


AI時代、裁量労働制は増える可能性が高い

AIの普及により、今後は:

  • エンジニア
  • データサイエンティスト
  • コンサルタント
  • 研究職

などで裁量労働制が増える可能性があります。

成果ベースの働き方は、今後の主流になると考えられます。


働く側が知っておくべき重要ポイント

裁量労働制で働く場合は、次を確認しましょう:

① 業務量を自分で調整できるか

→ できない場合は危険

② 評価基準が明確か

→ 不明確だと不利

③ 実際の労働時間

→ 長すぎる場合は要注意

④ 健康管理制度があるか

→ 産業医面談など


まとめ:裁量労働制の拡大は慎重な議論が必要

裁量労働制は、本来は自由度の高い働き方を実現する制度です。

しかし現実には、

  • 長時間労働の増加
  • 裁量の欠如
  • 残業代不払いの構造

などの問題が存在します。

制度拡大の前に必要なのは、

労働者保護の強化と適正運用

です。

働き方が大きく変わる今だからこそ、制度のメリットとリスクの両方を理解することが重要です。


筆者からの一言

裁量労働制は、適切に使えば理想的な制度です。

しかし、現実には運用次第で労働者に大きな負担を強いる制度にもなります。

制度の拡大だけでなく、

働く人を守る仕組みの強化

が今後の重要な課題だと感じています。

プロフィール
著者
diamondken

完全FIREを目指している一般独身男性。
約30年、自動車業界/外資系自動車部品メーカーに従事。
自動車用電装部品の開発にてSW, HW, SYS, PMを経験/担当し今に至る。
趣味はテニス、映画/音楽鑑賞、ゲーム(PS)、読書、旅行、楽器/エレキギターなど。
完全FIRE/経済的自立を実現すべく、資産運用、副業、投資、税金について勉強中。
TOEICスコア: 960

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