はじめに
「ANA SFCを持っているから、海外旅行でも空港ラウンジは使える」
そう思っている方も多いのではないでしょうか。
筆者も長年ANAを利用しており、ANA SFC(スーパーフライヤーズカード)=スターアライアンス・ゴールドという感覚で海外旅行をしていました。
ところが、昨年マレーシア航空を利用して、成田空港からマレーシア・クアラルンプール経由でプーケットへ旅行した際、改めて実感したことがあります。
それは、
「航空会社の上級会員資格は、アライアンスが変われば基本的に通用しない」
という当たり前の事実でした。
今回は、この旅行での実体験をもとに、スターアライアンスとワンワールドの違い、ANA SFC会員がワンワールド便に乗るとどうなるのか、そして空港ラウンジを利用するために何を準備すればよいのかを考えてみます。
スターアライアンスとワンワールドとは?
まず、航空会社には複数の「アライアンス(航空連合)」があります。
代表的な世界3大アライアンスは、
- スターアライアンス
- ワンワールド
- スカイチーム
です。
ANAはスターアライアンス、JALはワンワールドに加盟しています。
このアライアンスに加盟している航空会社同士では、マイレージ、ラウンジ、優先搭乗、手荷物など、一定のサービスを相互利用できます。
ただし、ここで重要なのが、
「ANA SFCだから、ワンワールドでも優遇される」わけではない
ということです。
ANA SFCはスターアライアンス・ゴールド
ANAのSFC会員は、スターアライアンスのステータスでは基本的に「Star Alliance Gold(スターアライアンス・ゴールド)」に相当します。
スターアライアンス・ゴールドでは、対象便利用時に加盟航空会社のラウンジ、優先チェックイン、優先搭乗、手荷物の優先扱いなど、さまざまな特典を利用できます。
ANA公式サイトでも、スターアライアンス・ゴールド会員について、ANAラウンジだけでなくスターアライアンス加盟航空会社のラウンジが利用対象になることが案内されています。
つまり、
ANA SFC → スターアライアンス・ゴールド → スターアライアンスの世界
という構図です。
筆者がマレーシア航空を利用して気づいたこと
ここからが今回の記事の本題です。
昨年、筆者はマレーシア航空を利用して、成田空港からクアラルンプール経由でプーケットへ旅行しました。
マレーシア航空はワンワールド加盟航空会社です。
成田空港でチェックインを済ませ、保安検査を通過。
すると、当然ですがそこからは、
「ワンワールドの世界」
です。
筆者はANA SFC会員。
つまりスターアライアンス・ゴールドです。
ところが、この場面ではそのステータスは基本的に効力を持ちません。
ANA SFCを持っていても、マレーシア航空を利用している以上、
「私はANA SFC会員です」
と言っても、ワンワールドの上級会員として扱われるわけではありません。
これは考えてみれば当然なのですが、実際に体験するとかなり印象に残ります。
成田空港でラウンジが使えなかった
その結果、成田空港ではANA SFCの特典を利用してラウンジに入ることができませんでした。
仕方がないので、筆者は吉野家で食事をして、一般の待合スペースで搭乗時間まで過ごすことになりました。
普段ANAを利用していると、
「空港に着いたらラウンジへ」
という行動が当たり前になっているだけに、これはちょっとしたカルチャーショックでした。
SFCを持っているからといって、どの航空会社に乗ってもラウンジが使えるわけではない。
このことを改めて実感しました。
クアラルンプール空港でも「ワンワールドの世界」
そして、さらに面白かったのが乗り継ぎ地の「クアラルンプール国際空港(KLIA)」です。
マレーシア航空を利用しているため、ここでも基本的にはワンワールドの世界。
ANA SFC=スターアライアンス・ゴールドの威力は発揮できません。
そこで筆者が利用したのが、
楽天カードに付帯していたPriority Pass(プライオリティ・パス)
でした。
これによってラウンジを利用することができました。
つまり今回の旅行では、
成田:ANA SFCが使えない → 一般エリアで待機
クアラルンプール:ANA SFCが使えない → Priority Passでラウンジ利用
という経験をしました。
この違いは、今後の海外旅行を考えるうえで非常に参考になりました。
スターアライアンスとワンワールドは「別世界」
今回の経験から感じたのは、
スターアライアンスとワンワールドは、同じ航空業界でも基本的には別世界
ということです。
例えば、
| 項目 | ANA SFC | ワンワールド便利用時 |
|---|---|---|
| ANA国内線ラウンジ | ○ | 原則対象外 |
| ANA国際線ラウンジ | ○ | 原則対象外 |
| スターアライアンス加盟社ラウンジ | ○ | 原則対象外 |
| ワンワールド加盟社ラウンジ | × | ワンワールド上級会員等なら○ |
| スターアライアンス優先サービス | ○ | × |
| ワンワールド優先サービス | × | ワンワールド上級会員等なら○ |
| Priority Pass | カード等の条件による | カード等の条件による |
※実際の利用条件は、搭乗便、運航会社、会員ステータス、空港などによって異なります。
ワンワールドでは、上級会員制度としてoneworld Emerald / Sapphire / Rubyが設定されています。
そのうちEmeraldとSapphireは、対象となるワンワールド便利用時にラウンジアクセスなどの優遇を受けられます。
つまり、
スターアライアンス・ゴールド ≠ ワンワールド・サファイア
です。
大きな空港では「ターミナル」まで意識したい
今回の旅行で、もう一つ強く感じたのが、
「アライアンスだけでなく、空港ターミナルも重要」
ということです。
大規模な国際空港では、航空会社によって利用するターミナルが異なることがあります。
そしてターミナルが分かれると、
- 利用できるラウンジ
- 保安検査場
- チェックインカウンター
- 乗り継ぎルート
- 空港内の移動時間
なども大きく変わってきます。
「同じ空港だからラウンジも近いだろう」
と考えていると、実際にはターミナル間の移動が必要だった、というケースもあります。
したがって、海外旅行では航空券を購入する際に、
①航空会社
②アライアンス
③利用ターミナル
④自分のステータス
⑤利用可能なラウンジ
まで確認しておくと安心です。
「ANA SFC+Priority Pass」は意外と強い?
今回の経験で筆者が感じたのは、
航空会社ステータスとPriority Passは競合するものではなく、補完関係にある
ということです。
ANAを中心に利用する場合、
ANA SFC → スターアライアンス系の優遇
を利用できます。
一方、ワンワールドなど別アライアンスの航空会社を利用する場合には、
Priority Pass → 航空会社のアライアンスに左右されにくいラウンジアクセス
という使い分けができます。
今回、クアラルンプールで楽天カードのPriority Passを利用できたことで、このメリットを実感しました。
特に海外旅行が多く、
- ANAも使う
- JALも使う
- シンガポール航空も使う
- マレーシア航空も使う
- LCCも使う
というように航空会社を固定しない旅行者にとっては、Priority Passは非常に便利な選択肢になり得ます。
ただし、Priority Passはカードによって利用回数、同伴者、対象施設などの条件が異なるため、「Priority Passが付いている」という一点だけでカードを選ばないことが重要です。
2028年のANA SFC改定を考えると、さらに重要になる
ここで、現在ANA SFC会員の筆者として気になるのが、2028年4月から予定されているSFC制度の変更です。
ANAの現行案では、ANAカード・ANA Payの年間決済額によって、
- SFC PLUS
- SFC LITE
に分かれる仕組みが示されています。
年間300万円以上の場合はSFC PLUSとなり、ANAラウンジ利用やスターアライアンス・ゴールドなどの特典が維持されます。
一方、年間300万円未満の場合はSFC LITEとなり、ANAラウンジが利用できず、スターアライアンス・シルバーとなる制度です。
つまり、これからのANA SFC会員にとっては、
「ANA SFCを持っている」だけでは、従来と同じ価値が保証されない
ということになります。
なお、ANAは現在、2028年のSFC制度について内容の再検討を公表しているため、最終的な制度については今後の公式発表を確認する必要があります。
ANA SFCだけに依存するのは得策なのか?
今回の旅行経験とSFC制度変更を合わせて考えると、筆者は少し考え方が変わりました。
これまでは、
「ANA SFCがあるから海外旅行でも安心」
と考えていました。
しかし実際には、
マレーシア航空に乗ればワンワールドの世界になる。
当然、ANA SFCは万能ではありません。
そして2028年以降については、ANA SFC自体にも制度変更の可能性があります。
だからこそ、
「航空会社のステータスだけに依存しない」
という考え方も重要なのではないでしょうか。
スターアライアンス vs ワンワールド、どちらを選ぶ?
では、スターアライアンスとワンワールドのどちらが良いのでしょうか。
筆者としては、単純に優劣をつけるものではないと思います。
ANA・スターアライアンス向き
- ANAを頻繁に利用する
- 日本国内線をよく利用する
- ANAラウンジを利用したい
- アジア・北米・欧州などへスターアライアンス便で旅行する
- ANA SFCのメリットを十分に活用できる
JAL・ワンワールド向き
- JALを頻繁に利用する
- JALの国内線をよく利用する
- ワンワールド加盟航空会社を多用する
- 中東・欧州・北米などでワンワールドのネットワークを活用したい
- oneworld Sapphire / Emeraldの特典を活用したい
そして、
航空会社を固定しない人
この場合は、Priority Passなどの航空会社横断型のラウンジサービスを組み合わせるという考え方もあります。
旅行先によって「最適解」は変わる
今回の筆者の旅行では、
日本 → マレーシア → プーケット
というルートでした。
この場合、マレーシア航空を選択した時点でワンワールドを利用することになります。
もしANA SFCのラウンジ特典だけを頼りにしていたら、成田でもクアラルンプールでも困ることになりました。
しかし、Priority Passを持っていたことで、クアラルンプールではラウンジを利用できました。
ここから得られる教訓は、
「どの航空会社が一番良いか」ではなく、「自分の旅行ルートに何が必要なのか」を考える
ことだと思います。
まとめ:航空会社を選ぶときは「アライアンス」まで確認しよう
今回、マレーシア航空を利用して改めて感じたのは、
航空会社の上級会員資格は、アライアンスをまたぐと基本的には効力を失う
ということでした。
ANA SFCはスターアライアンスの世界では非常に強力です。
しかし、ワンワールドに入れば別世界。
クアラルンプールでは、筆者は楽天カードのPriority Passに助けてもらいました。
今回の旅行で特に勉強になったのは、
「航空会社を選ぶときは、航空会社名だけでなくアライアンスとターミナルまで確認する」
ということです。
海外旅行では、航空券の価格だけを比較するのではなく、
航空会社 → アライアンス → 上級会員資格 → ラウンジ → ターミナル
まで含めて考えると、旅行中の快適度がかなり変わってきます。
特にANA SFCの2028年制度変更が予定されている現在、「SFCを持っているから大丈夫」という考え方を一度リセットして、自分にとって本当に必要なサービスは何なのかを考えてみる良いタイミングなのかもしれません。
筆者自身も今回の旅行をきっかけに、ANAだけにこだわらず、スターアライアンス、ワンワールド、そしてPriority Passを状況に応じて使い分ける旅行スタイルを考えるようになりました。
航空会社のステータスは便利ですが、旅行そのものが目的であることを忘れないようにしたいですね。

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