FIRE(Financial Independence, Retire Early)後の生活として、「海外移住」を検討する方が増えています。
今回はその中でも、アジアの経済大国・シンガポールをテーマに、実際に著者が2017年頃に約半年滞在した経験をもとにご紹介します。
シンガポールは清潔で治安が良く、英語が通じる国として人気がありますが、FIRE後の移住先として考えると、いくつかの課題も見えてきます。
独自採点:シンガポール移住の評価
移住先候補採点表 (独自の採点(良い:5>1:悪い)したもの)

以前の記事で紹介したように、筆者は海外移住先を「物価・治安・言語・ビザ・気候・文化」などの観点から独自採点しています。
シンガポールは総合 19点(満点=30点)となり、特に物価とビザのハードルが高い点で、最終的には候補から外れました。
シンガポールの物価は高い?【最新情報あり】
シンガポールは2017年当時から物価が高く、日本の約1.2倍と感じました。
たとえば、当時は以下のような価格でした。
| 品目 | 価格(2017年頃) | 備考 |
|---|---|---|
| 吉野家 牛丼(並) | 約600円 | 日本の約1.5倍 |
| やよい軒 生姜焼き定食 | 約800円 | 当時 1SGD ≒ 80円 |
| ユニクロ Tシャツ | 約2,000円 | 日本より割高 |
| アパート家賃(1LDK程度) | 約25万円~/月 | エリアにより異なる |
2025年現在ではさらに物価が上昇しており、消費者物価指数(CPI)は前年比約3~4%上昇(シンガポール統計局 2025年データ)と報告されています。
日常の外食費は日本よりも1.5~2倍程度になると考えておくのが現実的です。
言語:英語が通じるが「シングリッシュ」に注意
シンガポールの公用語は英語・中国語・マレー語・タミル語ですが、実際の会話では「Singlish(シングリッシュ)」と呼ばれる独特の英語が使われます。
これは英語に中国語などの言い回しが混ざったもので、初めて聞くと少し戸惑うかもしれません。
とはいえ、英語を話せる方なら日常生活で困ることはほぼありません。役所、病院、スーパーなども英語対応が整っています。
治安:監視社会の恩恵で非常に良好
シンガポールは「世界で最も安全な国の一つ」と評価されています。
街中には多数の監視カメラが設置され、犯罪の抑止効果が非常に高いです。
また、「ガムを噛むと罰金」といった厳しいルールと罰則文化も有名ですね。
このおかげで、夜間の一人歩きでも安心できるほどの治安が維持されています。
趣味・余暇:常夏でテニスも快適に楽しめる
著者の趣味であるテニスも、シンガポールでは盛んです。
気候が一年中温暖なため、屋外・屋内ともにテニスコートが充実しています。
また、日本人コミュニティやサークルも多く、趣味を通じた交流の場も豊富です。
食文化:多国籍料理が楽しめる「グルメ天国」
食に関してはシンガポールの最大の魅力の一つ。
中華料理、インド料理、マレー料理などがそれぞれの居住区に根付いており、本格的な多国籍料理を手軽に楽しめます。
最近では「ミシュラン屋台」も話題で、安くておいしいストリートフードが観光客にも人気です。
ビザ事情:FIRE民には高いハードル
シンガポールは狭い国土のため、移住ビザの取得難易度が非常に高いのが現実です。
| ビザ種類 | 条件(目安) | 備考 |
|---|---|---|
| 就労ビザ(Employment Pass) | 月収10,000SGD以上(約100万円) | 高スキル職向け |
| リタイアメントビザ(Retirement Visa) | 資産250万SGD以上(約2.6億円) | 高額資産者向け |
| 永住権(PR) | 就労・投資実績などに基づく審査 | 数年単位の長期審査 |
FIRE後の「無就労移住」としては、資産要件が高すぎるため、現実的には難しい国といえます。
まとめ:シンガポール移住は魅力的だが「高コスト」
| 評価項目 | 評価 (1~5) | コメント |
|---|---|---|
| 物価 | ★☆☆☆☆ | 物価・家賃ともに高い |
| 言語 | ★★★★☆ | 英語で生活可能 |
| 治安 | ★★★★☆ | 世界トップレベルの安全性 |
| 気候 | ★★★☆☆ | 一年中暑く湿度が高い |
| ビザ | ★☆☆☆☆ | FIRE層には取得困難 |
日本との時差はわずか1時間と少なく、地理的にも近いシンガポール。
ただし、「物価の高さ」と「ビザ取得の難しさ」がFIRE移住には大きな壁となります。
そのため、著者の移住候補リストからは残念ながら外れましたが、安全で利便性の高い国として一度は住んでみる価値のある場所です。
次回は、同じくFIRE移住先として人気のマレーシア編をお届けします。
シンガポールとの違いを比較しながら、より現実的な選択肢を探っていきましょう。

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