FIRE(Financial Independence, Retire Early)を達成した後、
「どの国で、どんなスタイルで暮らすか?」
これは多くのFIRE民にとって、次の大きなテーマです。
物価・治安・気候なども大切ですが、実際に海外で暮らす上で最も重要になるのが「VISA(ビザ)」です。
今回は筆者が調査・比較した**FIRE後の移住に向くビザ制度(タイ・マレーシア・フィリピン)**を取り上げ、2025年最新の制度とともに解説します。
1. タイ王国:VISA取得のしやすさで高評価
以前の記事「FIRE後を見据えた海外移住トライアル」でも触れましたが、筆者評価でタイはビザ取得のしやすさ第1位でした。
その理由を具体的に見ていきます。
🔹 主なビザの種類(2025年時点)
| ビザ名 | 主な対象者 | 有効期間 | 主な条件 | 特徴・補足 |
|---|---|---|---|---|
| 観光ビザ | 一般旅行者 | 60日(延長可) | 特になし | 延長で最大90日滞在可能 |
| ノンイミグラントO(リタイアメント) | 50歳以上 | 1年更新 | 銀行残高80万バーツ以上 or 月収6.5万バーツ以上 | コスト面で現実的、シニアFIRE層に人気 |
| タイランドエリート | 富裕層 | 5〜20年 | 加入費60〜200万バーツ | 申請簡単、90日レポート免除・VIP特典あり |
| LTR(Long-Term Resident) | 高資産者・専門職 | 10年 | 資産100万USD以上 | 富裕層限定、一般FIRE層には不向き |
| Digital Nomadビザ(新設) | リモートワーカー | 最大180日 | 年収80,000USD以上または実績証明 | 2025年に条件緩和、短期FIRE層に注目 |
今回は50代FIRE層と仮定して「ノンイミグラントOビザ(リタイアメント)」を検討してみました。
ただし、「現地銀行口座に80万バーツ(約340万円)以上の残高」が必要で、
①現地住所の確保 → ②銀行口座開設 → ③ビザ申請
という3ステップを踏む必要があります。
業者代行(約10〜15万円)を使えばスムーズですが、
「現地定住」前提でないと手続きの手間が大きいのが実情です。
✅ 筆者の結論(タイ)
現時点では観光ビザ(60日+延長で90日)で十分。
「好きな時に行って、気に入れば延長」できる柔軟さが、FIRE的な自由生活にマッチしています。
2. マレーシア:人気だが条件が厳格化
続いて、筆者評価で第2位のマレーシア。
日本人のロングステイ先として長年人気ですが、2023年以降、MM2H(マレーシア・マイ・セカンドホーム)制度の改定で条件が厳しくなりました。
🔹 主なビザの種類(2025年時点)
| ビザ名 | 主な対象者 | 有効期間 | 主な条件 | 特徴・補足 |
|---|---|---|---|---|
| MM2H | 長期滞在希望者 | 5年 | 月収12,300RM(約38万円)、定期預金150万RM | 条件が厳格化し、富裕層向けに変化 |
| S-MM2H(サラワク州限定) | サラワク州滞在希望者 | 5年 | 月収7,000RM(約21万円)+年間15日以上滞在義務 | 条件緩めだが地域が限定される |
| 通常観光ビザ | 一般旅行者 | 90日 | 特になし | 日本人はビザなしで3か月滞在可能 |
筆者は「S-MM2H」も検討しましたが、月収条件とサラワク州滞在義務がネックとなり断念。
結果的に、「定年後に悠々マレーシア生活」は現実的ではないと判断しました。
✅ 筆者の結論(マレーシア)
観光ビザ(90日)滞在+延長を繰り返す方法が現実的。
ただし、2025年内にMM2H制度の条件緩和が議論中であり、今後再注目される可能性もあります。
3. フィリピン:実は隠れたFIRE移住先
意外に知られていませんが、フィリピンはFIRE層に向いたビザ制度が豊富です。
特に「SRRV(Special Resident Retiree’s Visa)」は手続きの簡易さと低コストで注目されています。
🔹 主なビザの種類(2025年時点)
| ビザ名 | 主な対象者 | 有効期間 | 主な条件 | 特徴・補足 |
|---|---|---|---|---|
| SRRV Classic | 35歳以上 | 無期限(維持可能) | 預金2万USD〜 | 家族帯同可、投資転用可 |
| SRRV Smile | 35歳以上 | 無期限 | 預金2万USD | シンプルで人気、年齢層広い |
| SRRV Human Touch | 医療目的 | 無期限 | 預金1万USD+医療保険加入 | 医療系FIRE層に人気 |
| 通常観光ビザ | 一般旅行者 | 30日(延長可) | 特になし | 最大36か月まで延長可能(手続き簡単) |
フィリピンでは、英語が公用語・生活費が低い・日本から近いという利点もあり、
「英語を学びながらFIRE生活したい人」に特に人気が出ています。
✅ 筆者の結論(フィリピン)
総合的に見て、FIRE層の柔軟な滞在には最も現実的な国の一つ。
SRRVはコスト面で魅力的ですが、長期投資を伴うため慎重な検討が必要です。
4. 【比較表】タイ vs マレーシア vs フィリピン(2025年版)
| 比較項目 | タイ | マレーシア | フィリピン |
|---|---|---|---|
| 長期滞在ビザの種類 | リタイアメントO、エリート、LTR | MM2H、S-MM2H | SRRV各種 |
| 取得難易度 | ★★★☆(やや易) | ★★☆☆(やや難) | ★★★★(比較的易) |
| コスト | 中(Oビザ:預金80万バーツ以上 or 月収6.5万バーツ以上) | 高(預金要件あり) | 低(2万USD預金) |
| 英語環境 | △(観光地中心) | ○(日常会話可) | ◎(公用語) |
| 医療水準 | ◎(バンコク高水準) | ◎(KL高水準) | ○(都市部良好) |
| 滞在の柔軟性 | ◎(観光ビザ延長可) | △(MM2Hは固定滞在) | ◎(観光ビザ延長可) |
| 物価 | 安い | やや安い | 安い |
| 総合評価(筆者主観) | ★★★★★ | ★★★ | ★★★★ |
5. 【FIRE向けおすすめVISAランキング 2025年度版】
| ランク | 国・ビザ名 | 理由・特徴 |
|---|---|---|
| 🥇 第1位 | タイ 観光ビザ+リタイアメントOビザ | 手続き容易・コスト低・自由度高。FIRE的生活に最適。 |
| 🥈 第2位 | フィリピン SRRV(リタイアメントビザ) | 英語圏・長期滞在可・預金で永住可能。手続き簡単。 |
| 🥉 第3位 | マレーシア S-MM2H | 税制優遇・治安良好だが条件や滞在義務がネック。 |
6. まとめ:FIRE移住の鍵は「自由度 × 実現性」
- FIRE後の移住は、「永住」よりも「トライアル滞在」から始めるのが現実的。
- タイは短期滞在から永住まで柔軟に対応でき、筆者のおすすめ第1位。
- フィリピンは英語を活かしやすく、コスト面でも優秀。
- マレーシアは今後の制度改定次第で再注目の可能性あり。
筆者としては、当面はタイ観光ビザでの数か月滞在+他国比較というスタイルを継続予定です。
「FIRE後の自由な移住生活」を実現するために、これからも最新のビザ情報を追いかけていきます。
🔍 最新情報補足(2025年10月時点)
- **タイのDigital Nomadビザ(DNビザ)**は、年収基準が大幅に緩和され、リモートワーカー・FIRE層にも開放。
- マレーシアMM2Hは条件緩和案が政府内で協議中(2026年改定の可能性あり)。
- フィリピンSRRVはオンライン申請対応が進み、取得までの期間が短縮傾向。
💬 おわりに
FIRE後の生活は、単なる「リタイア」ではなく「再設計」です。
VISA制度を理解することで、自分に合った生き方・働き方の幅が広がります。
皆さんはどの国でFIREライフを過ごしてみたいですか?
コメント欄でぜひご意見をお聞かせください。

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