今回は「自動車の安全性」についてです。
この記事を読むことで、車選びの参考の助けになれば幸いです。
現在、自動車の安全性評価については世界中の色々な評価基準に従って行われています。
北米ではNCAP(New Car Assessment Programme)、ヨーロッパではEURO NCAP(European New Car Assessment Programme)、中国ではCNCAP(China New Car Assessment Program)、日本ではJNCAP(Japan New Car Assessment Program)が有名です。
それぞれ、独立した消費者団体により実施され、国内で販売されている自動車の安全性について衝突実験と衝突予防性能試験により検証し、その結果を公表することでユーザーに市場で販売される自動車の安全性の目安となる情報として提供し、自動車メーカーに対してより安全な自動車開発を促すのが目的です。
中でもEuro NCAPはヨーロッパ圏内で販売されているメーカーを対象に行われており、世界各国で実施されている同様の調査の中ではもっとも知名度が高く権威があるものとされています。
参考;The Official Site of the European New Car Assessment Programme
なお、評価実施から結果の公表までの手順は下記となります。
テスト実施団体がテスト車種を決定 ⇒ テスト実施 ⇒ (試験ミスの場合やメーカーの希望がある場合は再テスト(この場合の費用はメーカー負担)) ⇒ 公表
評価内容については、乗員保護、歩行者保護、チャイルドプロテクション、安全支援機能の4種の観点で構成されています。これらを元に評価され、評価結果は得点と共に星の数に換算したもので公開されています。
また、評価基準は毎年厳しめに変更されているため、同一車両/性能であっても、評価された年度によって評価結果が変わることになります。特に近年ではアクティブセーフティの重要性が増しているため衝突予防性能(いわゆるADAS(Advanced Driving Assistance System))の試験が追加され、評価への比重が高まっています。自動緊急ブレーキ(AEB:Autonomous Emergency Braking)、レーンチェンジアシスト(LCA:Lane Change Assistance)、
さて、これら評価基準を車選びにどう活用するかですが、相対評価で評価結果をみる。例えばボディー強度が低いコンパクトカーやロードスターを検討している場合は他の強度の強いセダンやワンボックスカーと比較しないとか。
下記はEuro NCAPで2019年のマツダ車のコンパクトSUVの評価結果を表示したものです。どちらも5つ星です。アイコンは左から乗員保護(Adult Occupant Protection)、チャイルドプロテクション(Child Occupant Protection)、歩行者保護(Pedestrian/Vulnerable Road User (VRU) Protection)、安全支援機能(Safety Assist)を表しています。
ご参考までに2022年のウィナー(トップ高得点者)は下記車両でした。
Tesla Model S、Hyundai IONIQ 6、WEY Coffee 01、Tesla Model S、ORA Funky Cat、Tesla Model Y
いずれも5つ星ですが、参考までにTesla Model Sの評価結果の詳細は下記です。総合得点での評価ですので、上記マツダ車と比べて、乗員保護(Adult Occupant Protection)以外の項目において得点が高いことが分かります。
現在、日本のOEM/自動車メーカーはこのEuro NCAPの評価項目で高得点を取れるように各社しのぎを削って車両開発を進めています。JNCAPなど他の評価基準はEuro NCAPに追従しているのでEuro NCAPで高得点が取れれば他の評価基準も高得点となります。
ちなみに2022年のJNCAPトップテン車両は下記です。
衝突安全、予防安全性能及び事故自動緊急通報装置について、それぞれの評価の得点を全て合計したときの満点に対する得点率が表され、満点は 199 点です。今回は得点のみ掲載しています。
1位 スバル「レヴォーグ」186.91。アイサイトXが話題となりました。
2位 トヨタ「ヴォクシー」186.44。アップデートされたトヨタセーフティセンス導入。
3位 スバル「ソルテラ」・トヨタ「bZ4X」186.16。
4位 スバル「レガシィ アウトバック」185.02。アイサイトX導入。
5位 トヨタ「ハリアー」177.68。
6位 ホンダ「ヴェゼル」177.04。アップデートされたホンダ・センシング導入。
7位 三菱「アウトランダーPHEV」176.77。
8位 日産「ノート」「オーラ」176.73。
9位 日産「ルークス」176.54。軽自動車でありながら安全装備を充実させてランクイン。
10位 日産「デイズ」175.72。こちらもプロパイロット導入でランクイン。
筆者の考察としては、各車共確立した感のある衝突安全(乗員保護)に対して、自動運転技術の要素技術となる予防安全性能/事故自動緊急通報装置(チャイルドプロテクション、歩行者保護、安全支援機能)に注力している状態にあると言えます。
以上、自動車の安全性についてでした。毎年変化する各評価内容を参照しながら車選びの参考の助けになれば幸いです。
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