今回はHUD(Head Up Display:ヘッドアップディスプレイ)についてです。
この記事を読むことにより、皆様の自動車への関心が深まると幸いです。
昨今、EV、ハイブリッド、ガソリン車に関わらず、運転席/コックピット周りの表示類/ディスプレイのデジタル化が著しいですが、その内でもヘッドアップディスプレイ(以下、HUD)について分かりやすくお話したいと思います。
[1]HUDとは
HUDとは運転者が頭の角度/視線を余り変えることなく(ヘッドアップの状態)、表示される車両情報を目視確認できるシステムです。
その仕組みは、ダッシュボード内に格納されたHUDユニットが液晶ディスプレイ(TFT)などの映像/光源を(平面)ミラーで反射し、凹面鏡などで拡大し、生成された像がフロントガラスに投影され、ドライバーの目にはフロントガラスの先(視点から数m先)に視認させるものです。
表示される内容は、メーターで表示される車両情報で車速、燃料計、警告灯、ナビゲーションで表示される行き先(主に目的地までの距離、矢印)、オーディオ情報(選曲など)、ADAS(周囲の車両)情報などです。
[2]システム構成
[3]メリット
最大のメリットは、運転者が頭の角度/視線を余り変えることなく(ヘッドアップの状態)、表示される車両情報を目視確認できることです。これによって、運転者は前方から目をそらさず、運転に集中することができます。HUDがない場合、前方から視線をメーター、センターディスプレイなどへ移すことにより何秒間か前方を見ない状態となり、その間にどのくらい車が進んでいるかを考えると安全性の点でそのリスクを察することができると思います。
[4]デメリット
1.前方にある物体とHUDの表示(虚像)が被ってしまった時にわずらわしさを感じてしまうかもしれないこと。これについては個人差がありますし、メーカーもそうならないように工夫しています。
2.専用フロントガラス
フロントガラスはHUDを成立させるための光学部材の一つとして機能するため、HUDの像が歪まないように極めて高い面形状の精度が求められます。また、フロントガラスの車外側と車内側で反射する像がずれえ見える二重像(虚像)と呼ばれる現象を抑えるために、フロントガラスの厚みを車両上下方向にわずかに徐変(楔角)させて断面を楔形状にする必要があります。
3.HUDユニットの容量
ドライバーの視点から(投影される)像までの距離と同じ距離をHUDユニット内で確保し、その距離で映像/光源~反射拡大を実現する必要があるため、投影距離に応じてHUDユニットの容量/サイズも変わります。従って、投影距離と(限られた)ダッシュボード内の空間のレイアウトはトレードオフ関係にあります。
以上、今回はHUDについてでした。
この記事を読むことにより、皆様の自動車への関心が深まると幸いです。
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