今回は車載カメラ(システム)についてです。
この記事を読むことにより、皆様の自動車への関心が深まると幸いです。
昨今、導入の拡大が進んでいるADASですが、その内、カメラ/ビジョンシステム(以降、カメラシステム)について分かりやすくお話したいと思います。
まず、ADAS(Advanced Driver-Assistance Systems;先進運転支援システム)とは、ドライバーの安全・快適を実現するために、運転を支援する機能の総称で、自動車にセンサを搭載して周囲の情報を収集し、的確にドライバーに表示/警告する機能や、ドライバーに代わって自動車を制御する機能などがあります。
車載カメラシステムは、周囲の状況を検知・認識するためのカメラ、データを処理・送受信するセンサ/ECUと処理/判断された情報を基に動作する車両システム(アクチュエータ・電動部品など)で構成されます。
これまで、ドライブレコーダー、リアビュー/バックモニタ、アラウンド・ビューなど、運転時の記録を保存したり、ドライバーの死角を補助するものとして普及してきましたが、画像認識技術の発展により、画像データを基に車線、道路標識、自転車、歩行者などの周囲環境をモニターし、ドライバーに警告を発したり、自動車の挙動を制御することができるようになってきました。
[1]システム システムとしての主な機能は下記です。
1.周囲の視界支援機能 (アラウンド・ビュー・モニタ、リアビューモニタ;ドライバが車の死角を映像で確認、レーン・チェンジ・アシスト;車線変更時における後側方障害物警報など)
2.駐車支援 (パーキング・アシスト;自動駐車機能)
3.レーン・アシスト、車線逸脱警報/車線維持支援 (車線/レーンマーカーを検知して、警告音または、警告音とステアリング操作支援でドライバーに通知)
4.自動緊急ブレーキ (AEB [Automated Emergency Brake]; カメラとミリ波レーダーを使用して前方の歩行者や先行車・自転車を認識し、ブレーキ操作支援で衝突回避や被害軽減を図る)
5.道路標識の認識 (一方通行、制限速度などの道路標識を認識しドライバーへ通知、車両制御)
6.アダプティブクルーズコントロール (ACC[Adaptive Cruise Control]; ミリ波レーダーとカメラにより先行車の存在とその距離を認識し、追従走行)
7.ドライバモニタリング (ドライバーの異常を検知して、安全な場所への停車や緊急通報を行う)
8.その他 (ドライブレコーダー、アダプティブハイビームシステム; オートハイビーム制御において、先行車や対向車をピンポイントで遮光するなど)
[2]モノ(単眼)カメラとステレオカメラ;
1.モノカメラ; 文字通り1つのカメラレンズで機能するもののことです。
距離計測は検知した画像座標の縦方向のピクセル位置から遠近法を用いて算出されます。測定誤差は大きくなる傾向にあるが、利点として低コストで設置できること、キャリブレーションの容易さが挙げられます。欠点としては認識する対象が限定されることです。
2.ステレオカメラ; 2つのカメラで対象を測定し、その視差により精度の高い距離測定を可能にします。立体物を検知できるため、歩行者、自転車、車両など様々な物体の区別、位置(距離、横方向)を高い精度で計測できます。欠点としては検出できるデータが多い分、キャリブレーションが難しく、計算量が増加することです。
[3]車載カメラシステムの課題と今後
車の周囲の光学情報を入手する車載カメラは、その特性により、昼夜、トンネルの出入り、日差し/逆光と日陰、濡れた路面の反射光、グレア、ハレーション、白線のかすれ/欠けや、悪天候時に光源を適切に受光することができなかったり、光学的ノイズの影響を受けやすいことがあります。
より正確な光学情報を入手するためにはイメージセンサ、露光制御、レンズ鏡筒のなどの技術革新が課題です。また、ソナー、(ミリ波)レーダー、LIDARなど、他のセンサと組み合わせるセンサフュージョン技術を発展させることで、死角を減らし、計算精度を高めたアルゴリズムにより信頼性の高いシステムがの登場が期待されます。
注)今回は説明内容簡素化のため、カメラ素子/イメージセンサ(CCD, CMOS)、検知から認識/判断のアルゴリズムについての説明は省略させていただきました。
以上、今回は車載カメラ(システム)についてでした。
この記事を読むことにより、皆様の自動車への関心が深まると幸いです。
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