ANAマイレージクラブには、一般的な「マイルを貯めて特典航空券に交換する」という仕組みとは少し違った制度があります。
それが「ANAミリオンマイラープログラム」です。
ANAマイレージクラブへの入会から現在までに飛んだ総距離を「ライフタイムマイル(LTマイル)」として記録し、その実績に応じて記念品や生涯にわたる特典が提供されます。
特に興味深いのが、100万LTマイルを超えるとマイルの有効期限がなくなり、200万LTマイルを超えるとANA LOUNGE・ANA SUITE LOUNGEを生涯利用できるという点です。
2028年からのANAスーパーフライヤーズカード(SFC)制度変更が話題になるなか、「それならSFCではなく、ミリオンマイラープログラムを目指したほうがいいのでは?」と考える方もいるかもしれません。
今回は、ANAミリオンマイラープログラムの仕組みと特典について、2026年8月時点の情報を整理してみます。
ANAミリオンマイラープログラムとは?
ANA公式サイトによると、ミリオンマイラープログラムは、ANAマイレージクラブ入会からの総飛行距離「ライフタイムマイル」の実績に応じて、長年ANAを利用してきた顧客に特別なサービスを提供する制度です。
一般的なプレミアムポイントのように「1年間」でリセットされるものではありません。
これまでのANA利用実績が、生涯にわたって積み上がっていくのが大きな特徴です。
そして重要なのは、
ライフタイムマイルは「保有マイル」ではなく「飛行距離」を表す数字
ということです。
したがって、クレジットカード決済やANAのサービス利用だけで増やすことはできません。
基本的には、実際に飛行機に搭乗することで積み上げていく数字です。
ライフタイムマイル(LTマイル)とは?
ライフタイムマイルは、ANAマイレージクラブ入会から現在までの総飛行距離です。
ANAグループ運航便については「ANAライフタイムマイル」、提携航空会社運航便については「ライフタイムマイル(ANA+パートナー航空会社)」として記録されます。
そして、この2つを合わせたものが総LTマイルとなります。
なお、LTマイルは1997年4月1日以降にANAマイレージクラブのマイル口座へ積算された実績をもとに算出されています。
LTマイルと通常のマイルは別物
ここは非常に重要です。
| 項目 | 通常のANAマイル | ライフタイムマイル |
|---|---|---|
| 目的 | 特典航空券などへの交換 | 生涯の搭乗実績 |
| 貯め方 | 搭乗・カード・各種サービスなど | 基本的に搭乗 |
| 有効期限 | 原則あり | 「実績」として累積 |
| 特典交換 | 可能 | できない |
| 年間リセット | なし | なし |
| 生涯累計 | ― | 入会からの累計 |
LTマイルそのものを特典航空券などに交換することはできません。あくまで「ANAとの付き合いの長さ・飛行距離」を記録する指標です。
50万LTマイルから始まる「時の証」
ANAミリオンマイラープログラムの特徴的な特典が、**オリジナルネームタグ「時の証」**です。
ANAはヘリコプター輸送会社をルーツの一つとしており、レオナルド・ダ・ヴィンチが描いたヘリコプターの原型図をモチーフにしたデザインが採用されています。
しかも、単なるプラスチック製の記念品ではなく、加賀蒔絵など日本の伝統工芸を取り入れたものとなっています。
現在は、ANAライフタイムマイルの到達状況に応じて、
- 50万LTマイル
- 100万LTマイル
- 200万LTマイル
- 300万LTマイル
- 400万LTマイル
- 500万LTマイル
といった段階で、それぞれ異なるデザインのネームタグが用意されています。
これはまさに「ANAにこれだけ乗った」という証明でしょう。
50万LTマイルでは何がもらえる?
ここは誤解しやすいところです。
50万LTマイルに到達しただけでは、ANA LOUNGEの生涯利用などの生涯特典はありません。
50万LTマイルで得られる代表的なものは、オリジナルネームタグ「時の証」です。
一方、100万LTマイル以上になると、以下の生涯特典が加わります。
ANAミリオンマイラープログラムの特典一覧
| ANAライフタイムマイル | 主な特典 |
|---|---|
| 50万LTマイル | オリジナルネームタグ |
| 100万LTマイル | ネームタグ+マイル有効期限なし+SFC申込資格 |
| 200万LTマイル | 上記+ANA LOUNGE・ANA SUITE LOUNGE生涯利用 |
| 300万LTマイル | さらに上位の記念ネームタグ |
| 400万LTマイル | さらに上位の記念ネームタグ |
| 500万LTマイル | 最上位クラスの記念ネームタグ |
つまり、「50万マイル達成=生涯ラウンジ」という制度ではありません。
ここはSFC制度との比較をする場合にも注意したいポイントです。
100万LTマイルで「マイルの有効期限」がなくなる
100万LTマイル以上になると、かなり実用的な特典が登場します。
それが、
ANAマイルの生涯有効化
です。
ANA公式サイトでは、未使用マイルの有効期限が無期限に延長され、マイルが失効しなくなると案内されています。
これは個人的には非常に魅力的です。
通常のANAマイルは、せっかく貯めても使わないまま一定期間が経過すると失効してしまいます。
しかし100万LTマイルに到達すると、この「マイルの期限」を気にする必要がなくなります。
例えば、
「今年は海外旅行に行く予定がない」
「今は欲しい特典航空券がない」
という場合でも、慌ててマイルを使う必要がありません。
100万LTマイルでSFCにも申し込める
もう一つ興味深い特典が、
スーパーフライヤーズカード(SFC)への申込資格
です。
通常、SFCはANAの「ダイヤモンドサービス」または「プラチナサービス」メンバーなど、所定の条件を満たした人が申し込めるカードです。
ところが、ANAライフタイムマイルが100万LTマイル以上になると、いつでもSFCへ申し込める資格が得られます。
ただし、ここも注意が必要です。
SFCは無料ではありません。
クレジットカード機能付きの年会費制カードであり、申し込みにはカード会社の審査もあります。
200万LTマイルでANA LOUNGEを生涯利用
そして、個人的に最も魅力的だと思うのがこれです。
ANAライフタイムマイル200万LTマイル以上
になると、
ANA LOUNGEおよびANA SUITE LOUNGEを生涯利用できる
という特典があります。
ANAから「ANA LOUNGEアクセスカード」が送付され、ANAグループ運航便への搭乗時に提示して利用します。
国内線のANA LOUNGEも対象です。
また、他社が運航するANA便名のコードシェア便も対象となります。
ただし、
スターアライアンス加盟航空会社が運航する便は対象外
です。
ここはANA SFCのスターアライアンス・ゴールド特典とは大きく異なります。
200万LTマイルならSFCは不要なのか?
これは非常に興味深いところです。
2028年4月から予定されているSFC制度について、ANAは2026年8月現在、当初発表した制度内容の再検討を行っています。
ANA公式サイトでは、年間300万円以上のANAカード・ANA Pay決済を条件とする「SFC PLUS」などの制度案について、現在見直しを検討しており、2026年9月末までに改めて案内するとしています。
一方、ミリオンマイラープログラムでは、100万LTマイル到達者にSFC申込資格、200万LTマイル到達者にANA LOUNGE・ANA SUITE LOUNGEの生涯利用が提供されています。
そのため、
「長年ANAを利用する人にとって、SFCとは別の生涯型ステータスが存在する」
と考えることができます。
ただし、200万LTマイルは簡単に到達できる数字ではありません。
50万LTマイルはどのくらい大変なのか?
ここで実際の距離を考えてみます。
例えば、ANAの羽田~那覇線は片道の区間基本マイレージが984マイルです。
単純計算すると、
羽田~那覇往復=1,968マイル
です。
したがって、
50万LTマイルの場合
500,000 ÷ 1,968 ≒ 254往復
となります。
つまり、羽田~那覇だけで考えると、
約254往復、約508区間
です。
これはかなりの搭乗回数です。
以前のイメージとして「50万マイル=羽田~那覇を約500往復」と考えてしまいそうですが、正確には約254往復です。
とはいえ、年間10往復しても25年以上。
年間20往復しても12年以上。
普通の旅行者にとって、50万LTマイルでさえ簡単な数字ではありません。
100万・200万LTマイルはさらに別世界
同じ羽田~那覇で単純計算すると、
| LTマイル | 羽田~那覇往復換算 |
|---|---|
| 50万 | 約254往復 |
| 100万 | 約508往復 |
| 200万 | 約1,017往復 |
となります。
もちろん実際には国内線だけでなく、国際線や提携航空会社なども利用するでしょう。
また、路線によって区間基本マイレージが異なるため、これはあくまで「羽田~那覇だけを利用した場合の単純計算」です。
それでも、
200万LTマイルという数字がどれほど大きいのか
はイメージできると思います。
特典航空券でもLTマイルは貯まる
意外と知られていないのが、ANA国内線・国際線の特典航空券でもLTマイルが積算されることです。
ただし、搭乗後6カ月以内に事後登録の手続きが必要です。
一方、
- ANAマイルで交換した提携航空会社運航便の特典航空券
- 他社マイルで交換したANAグループ運航便の特典航空券
などはLTマイルの積算対象外です。
また、搭乗前の登録を忘れた場合なども、原則として搭乗後6カ月以内なら事後登録が可能です。
「ミリオンマイラー修行」はするべき?
ここは個人的には非常に重要なポイントです。
結論から言えば、
ミリオンマイラーになるためだけに飛行機へ乗ることは、あまりおすすめしません。
例えば、
「あと2万LTマイルだから沖縄へ何往復もしよう」
「50万LTマイルまであと少しだから、必要のない旅行をしよう」
という考え方です。
これはSFC修行と似た問題を抱えています。
飛行機に乗ること自体が目的ならいいのですが、
「特典を得るために、本来必要のない支出をする」
のであれば、本末転倒です。
FIRE目線で考えるANAミリオンマイラー
筆者はFIREを意識して生活しています。
そのため、ミリオンマイラープログラムについても、
「特典のためにお金を使うのではなく、必要な旅行をしていた結果としてLTマイルが貯まったらラッキー」
くらいの距離感で考えています。
これは今回のSFC制度改定を考えるうえでも重要ではないでしょうか。
「無料ラウンジ」という特典のために年間300万円のカード決済をする。
「SFCを維持するために必要のない買い物をする。」
「ミリオンマイラーになるために必要のない飛行機に乗る。」
これでは、特典に自分の行動を合わせていることになります。
本来は逆です。
自分の旅行や生活が先にあり、その結果として特典を得る。
この順番が大切だと思います。
SFCとミリオンマイラープログラムはどちらがいい?
単純比較するものではありませんが、特徴を整理すると次のようになります。
| 項目 | ANA SFC | ミリオンマイラープログラム |
|---|---|---|
| 基準 | プレミアムメンバー資格など | 生涯の飛行距離 |
| 短期間で獲得 | 比較的可能 | 難しい |
| 継続条件 | 制度変更の影響を受ける | LTマイルは累積 |
| ラウンジ | 制度・資格による | 200万LTマイル以上で生涯利用 |
| マイル有効期限 | 通常ルール | 100万LTマイル以上で無期限 |
| SFC申込資格 | 条件あり | 100万LTマイル以上で申込資格 |
| 修行 | 可能 | 基本的には長期間必要 |
| 再制度変更リスク | あり | 今後の制度変更は別途確認が必要 |
| 向いている人 | 短~中期で上級サービスを利用したい人 | 長年ANAを利用する人 |
現在はSFC制度そのものについてANAが再検討中なので、今後の最終的な制度内容を確認する必要があります。
筆者のライフタイムマイルは約40万マイル
筆者自身のライフタイムマイルは、現在約40万マイルです。
これまでかなりANAを利用してきたつもりですが、それでも50万LTマイルまであと10万マイルあります。
そう考えると、
50万LTマイルは「普通にANAを利用している人が簡単に到達できる数字」ではない
ことが分かります。
まして100万LTマイル、200万LTマイルとなると、完全に別次元です。
会社員時代の出張などで長年ANAを利用してきた人なら、いつの間にか到達していたというケースはあるかもしれません。
一方、旅行目的だけでゼロから目指すのは、かなりハードルが高いでしょう。
ANA SFC改定後は「生涯型特典」に注目するのもあり
今回のSFC制度改定をきっかけに、
「これまでANAを使ってきた意味は何だったのか」
と感じている方もいると思います。
筆者もその一人です。
ただ、今回改めてミリオンマイラープログラムを調べてみると、ANAにはSFCとは別に、
「長年ANAを利用してくれた顧客を、生涯にわたって大切にする」
という考え方が残っていることが分かります。
特に100万LTマイル以上の、
- マイル有効期限なし
- SFC申込資格
そして200万LTマイル以上の、
- ANA LOUNGE生涯利用
- ANA SUITE LOUNGE生涯利用
は、かなり強力な特典です。
まとめ:ミリオンマイラーは「目指すもの」ではなく「結果」と考えたい
今回はANAミリオンマイラープログラムについて調べてみました。
個人的に魅力を感じるのは、
①100万LTマイル以上でマイルの有効期限がなくなる
そして、
②200万LTマイル以上でANA LOUNGE・ANA SUITE LOUNGEを生涯利用できる
という2つです。
一方、50万LTマイルで得られる「時の証」も、長年ANAを利用してきた人にとっては非常に良い記念品だと思います。
ただし、50万LTマイルを達成するだけでも、羽田~那覇を例にすると約254往復。
100万、200万LTマイルとなれば、さらに桁違いです。
したがって筆者としては、
「ミリオンマイラーを目指して飛ぶ」のではなく、「ANAを利用して旅行していたら、いつの間にか到達していた」
くらいがちょうどいいと思います。
今回のSFC制度改定をきっかけに、航空会社のステータスやポイント制度について考え直した方も多いでしょう。
特典は魅力的です。
しかし、特典を得るために必要以上のお金や時間を使ってしまえば、その特典の価値は薄れてしまいます。
筆者としては、FIRE生活では特に、
「特典を追いかけるのではなく、自分の生活に必要なサービスを利用した結果として特典を得る」
という考え方を大切にしたいと思います。
50万LTマイルまでは、あと約10万マイル。
筆者が今後もANAを利用していくなかで、いつか「時の証」を受け取る日が来るのか。
それくらいの気持ちで、これからもANAを利用していきたいと思います。
※本記事の制度・特典内容は2026年8月時点でANA公式サイトを確認したものです。特にSFC制度についてはANAが2026年9月末までに改めて案内するとしているため、今後変更される可能性があります。
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