2026年春、ANA はSFC(スーパーフライヤーズカード)会員制度の大幅改定を発表しました。
年間300万円以上のANAカード・ANA Pay決済を行わなければ、ANAラウンジ利用やスターアライアンスゴールド資格を維持できなくなるという内容は、多くのマイラーや株主に衝撃を与えました。
一方で、あまり話題になっていないのが同時期に発表された「ANA株主優待制度の見直し」です。
ANAはこれを「拡充」と表現しています。
果たして本当に株主にとってメリットのある改定なのでしょうか。
今回は改定前後の違いを整理しながら、個人投資家目線で評価してみたいと思います。
ANA株主優待制度の改定内容
改定前後比較表
| 項目 | 改定前 | 改定後(2026年~) |
|---|---|---|
| 国内線株主優待券(50%割引) | 継続 | 継続 |
| ANAショッピングA-style割引 | 継続 | 継続 |
| ANA FESTA・免税店割引 | 継続 | 継続 |
| IHG ANAホテル優待 | 継続 | 継続 |
| 施設見学会 | 継続 | 継続 |
| 提携ゴルフ場優待 | 継続 | 継続 |
| ANA国内線シンプル運賃5%割引 | なし | 新設 |
| Peach国際線4,000円割引 | なし | 新設 |
| 国内・海外ツアー優待拡充 | 限定的 | 約10%相当へ拡充 |
| 大口・長期保有優遇制度 | なし | 新設 |
| Air Japan優待 | あり | 終了 |
① ANA国内線「シンプル運賃」5%割引
今回の目玉の一つです。
従来の株主優待券(50%割引)は非常にお得ですが、
- 運賃が高い日にしか使わない
- 株主優待券が余る
というケースもありました。
そこで新たに追加されたのが、
シンプル運賃5%割引制度
です。
利用条件
| 保有株数 | 割引コード発行数 |
|---|---|
| 100~499株 | 1回 |
| 500~999株 | 2回 |
| 1,000株以上 | 3回 |
メリット
最大9名・4区間まで適用可能。
家族旅行では意外と効果があります。
デメリット
対象は
- シンプル運賃のみ
- 変更不可
です。
LCC並みの格安運賃を期待すると少し肩透かしをくらいます。
② Peach国際線4,000円割引
こちらは新設です。
ただし実質的には、
旧Air Japan優待の代替制度
と考えるのが自然でしょう。
利用価値
近距離国際線では有効です。
例
- ソウル
- 台北
- 香港
- バンコク
など。
注意点
4,000円割引なので、
繁忙期にはインパクトが限定的です。
③ 国内・海外ツアー優待拡充
今回ANAが最も力を入れていると思われる部分です。
対象となるのは
- ANAトラベラーズ
- ANAワンダーアース
- ハイエンドパッケージツアー
など。
特徴
- ビジネスクラス利用
- 高級ホテル宿泊
- 添乗員同行
といった富裕層向け商品が中心です。
庶民にはどうか?
正直なところ、
年間数十万円~数百万円の旅行商品を利用する人向けです。
④ 長期・大口保有優遇制度
今回最も話題になっている新制度です。
対象条件
以下を全て満たす必要があります。
- 20,000株以上保有
- 3年以上継続保有
- 個人株主
現在の株価ベースで試算
仮に1株3,000円とすると
20,000株=約6,000万円
かなり高いハードルです。
特典
ANA最高ステータス
「ダイヤモンドサービス」
の一部が利用可能になります。
利用できる主なサービス
- ANAラウンジ
- 優先搭乗
- 優先チェックイン
- 手荷物優先受取
など。
利用できないサービス
- SFC申込権
- アップグレードポイント
- ダイヤモンド選択特典
など。
従来から継続する優待
ANA FESTA・免税店
10%割引
IHG ANAホテル
宿泊20%割引
飲食10%割引
A-style
株主限定価格
施設見学会
抽選制の見学会です。現地までの交通費は自腹です。
航空ファンには人気です。
ANAはなぜ優待を見直したのか?
SFC制度改定と並べると見えてくるものがあります。
共通点
どちらも
「利用者数を絞る方向」
です。
SFCでは
年間300万円決済
株主優待では
20,000株以上保有
つまり、
広く薄くではなく、
深く長く付き合う顧客・株主を重視する方向性
が見えます。
JALとの違い
Japan Airlines は比較的、
- 国内利用者
- 長期利用者
を重視する印象があります。
一方ANAは近年、
- 国際線
- 富裕層
- インバウンド
へのシフトを進めています。
今回の優待改定もその流れの一環と考えられます。
筆者の見解
結論から言うと、
筆者のような庶民派個人投資家にとって恩恵が大きいのは
①のシンプル運賃5%割引
くらいです。
Peach優待は利用機会が限られます。
ツアー優待は富裕層向け。
20,000株保有制度はさらに別世界です。ただし、確実に無料ANAラウンジの特権を得ることができます。
今回の改定を見る限り、
ANAは
- SFC制度
- 株主優待制度
の両方で、
「量より質」
へ舵を切ったように見えます。
まとめ
ANA株主優待制度は確かに拡充されました。
しかし、その恩恵を大きく受けるのは
- 富裕層
- 高頻度利用者
- 大口株主
が中心です。
一般的な100株~1,000株程度の個人株主にとっては、
実質的なメリット増加は限定的と言えるでしょう。
SFC制度改定と合わせて考えると、
ANAが目指しているのは「顧客数の拡大」ではなく、
「高収益顧客の囲い込み」
に焦点を当てているように見えます。
今後、実際に届いた株主優待券や新設された「シンプル運賃5%割引」を利用した際には、実用性や使い勝手を改めてレポートしたいと思います。
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